ハッピーセットという言い訳

うちの家庭では、よくマクドナルドを利用する。
昼どきに買いに行って家に帰って食べることもあれば、娘と息子と出かけたときに店で食べることもあるし、朝マック買って食べることもしばしば。
 
その際、必ずと言っていいほど、娘(小学1年生)はハッピーセットを注文する。
最近は、息子(1歳9ヶ月)もそこそこ量を食べる用になったので、本人がリクエストするわけではないが、息子の分のハッピーセットを頼むことも多い。
 
マクドナルドのハッピーセット。今さら説明するまでもないが、いわゆるおもちゃ付きの子ども向けセット。
ハンバーガーだけでなくナゲットなんかも選択でき、ポテトと飲み物、それにおもちゃがついてくる。
 
娘はちょっと前まで、マクドナルドという店名ではなく、ハッピーセットという店だと認識していたようで、ハッピーセット行く!と言っていたくらい、マクドナルドに対する食いつきがいい。
 
さて、このハッピーセットが意味するところを、今回は考えてみたい。
イノベーションのジレンマ」で有名な、クレイトン・クリステンセン教授の「ジョブ理論」では、人はなぜその商品やサービスを購入するのかを解き明かしている。
この「ジョブ理論」でクリステンセン教授は、消費者は成し遂げたい”ジョブ”があり、そのジョブを解決するために商品やサービスを雇用している、と説く。
 
だとすると、ハッピーセットを雇用することによって、消費者が成し遂げたいジョブとは何なのか。
それは、日ごろおもちゃを買い与えることをしない親が、たまに子どもたちにおもちゃを与えるための言い訳を提供しているのである。
 
子どもたちは、ちょっと買い物に出かけると、あれ買ってこれ買ってと言ってくる。それをいちいち聞いていたらキリがない。
ただ、毎度その要望をすべて断るのは大変だし、たまには買ってあげてもいいかなと思ったりするが、一方でその線引きをどこでするのかが悩ましい問題だったりする。
そんな親の、毎回毎回買うわけにはいかないが、たまにはおもちゃを買い与えたい、というジョブを解決してくれるのがハッピーセットなのである。
 
ハッピーセットというネーミングもいい。あくまでもセットの種類という位置づけ。買うのは昼食であり、おもちゃはおまけとしてついてくる。これがおもちゃがメインになるようなネーミングだとこうもうまくはいかなかったのではないだろうか。
毎度、マクドナルドに行って、ハッピーセットを頼むために、うまい言い訳を考えたものだと感心したりする。
 
こんな感じで、親の本音と建前、それに対する言い訳をうまく提供するという枠組みでつくられている商品・サービスは他にもありそうでなので、ちょっと注意して探してみたいと思う。
 
ということで、ハッピーセットは親の言い訳を上手く提供している、という話でした。