質問にそのまま答えるのはなぜ難しいのか

昨日のこのブログの記事で、会議などで質問に答えない社員が多くて困っている、という話を書いた。
質問に対してそのまま回答してくれればいいのだが、言い訳めいた理由まで説明してくることが多い。そして、言い訳を付け加えるのであればまだいいが、質問自体には全く答えないことも多く、なぜそれが問題なのかについて考えてみた。
 
では、なぜ質問にそのまま答えるのは難しいのだろうか。今回はその点について考えてみたい。
 
理由は3つあると考える。単独で起こる場合もあるし、合わせ技の場合も多いかと思う。
1つめは、質問の意図を勝手に解釈するから。
上述の売上はどのくらいになりそうか、という質問。文字通り読めば、どのくらいになるかの予測を答えればいい。少なくとも私が質問するときは、文字通りの回答をしてくれればいいと思っている。その売上予測が未達の予測であり、さらにその理由を知りたければ、再度質問をすればいい。
しかし、多くの人は、文字通りの質問の裏側の意図を読み取ろうとしてしまう。
おそらく、これまでの学校生活や社会人経験で、理由や原因を追及されることが多かったのだろう。それで自然と質問外のことまで答えてしまうようになってしまい、挙句の果てには質問には答えずに言い訳だけをしてしまうなんてことになっているだと思われる。
 
2つめは、質問を聞くのではなく、どう繕うかを考えてしまうから。
質問に答えずに言い訳をしてしまう人を見ていると、質問については途中から聞いておらず、どう取り繕うかと考えてしまっているように見える。
だから、元の質問が頭に入っておらず、直接関係のない言い訳に終始してしまうのだと思われる。試験で、問題文をよく読まずに、回答してしまうようなものである。
こうやって考えてみると、質問に答えるということは、かなり高度な作業なのかもしれない。短時間で、相手の言っていることを理解し、なんなら意図まで汲んで、回答を用意する必要がある。
だからこそ、とくに慣れていない人や自信のない人は、相手の意図を汲むことは避けたほうがいい。相手の言っていることを理解して、それに回答することに集中したほういいと思うが、どうだろうか。
 
最後3つめの理由は、間が怖いから。
文字通り質問に答えると、一言で終わってしまう。売上の予測に対する質問であれば、その額を答えておしまいである。
それで次の質問を待てばいいのだが、その間に耐えられないのだろう。だから、聞かれてもいないことを延々と話してしまうことになる。
その気持ちはわからなくもないだが、間を埋めようとすることで余計な発言が増え、言わなくてもいいことを言ってしまったりすることになるので、できるだけ避けるほうが賢明だろう。
 
会議という場は、正しい情報をもとに何かしらの意思決定をする場であるが、ややもすると釈明をする場になりがちである。
うちの会社でもそういう傾向はありそうなので、参加者の意識を変えていく必要があるし、そのためには経営者である私が言い続けないといけないのだろう、と思った次第である。
 
ということで、「質問に答える」を定着させるには時間がかかりそうだ、という話でした。