「新型コロナとワクチン 知らないと不都合な真実」を読んで、新たに理解できたことをまとめておく(感染の基礎知識・PCR検査編)

「新型コロナとワクチン 知らないと不都合な真実」という本を、この年末年始にかけて読んだ。
本書は「ウイルス免疫学」の専門家である峰宗太郎氏と日経ビジネス編集者の山中浩之氏の共著で、新型コロナウイルスに関する基本的な知識から、ワクチンやPCR検査などの専門的な話までが網羅されている。
 
実は、生まれてはじめて、「献本」なるものを著者の山中氏からいただいた。
この書籍のもととなる日経ビジネスの記事の感想を書いたブログの記事を読んでいただき、それがきっかけで年末に本を送っていただいた。
誰も読んでいないと思っていたブログだと思っていたが、こうやって著者の方と交流ができたということで、発信してよかったと思った。
 
山中さん、この場を借りて、改めて御礼申し上げます。ありがとうございました。
 
さて、本書は内容はざっくり以下のとおりで、とくにワクチンやPCR検査に関する項目は丁寧に解説されており、私自身大変勉強になった。
 
第1章 新型コロナの感染の基礎知識(ミクロ論)
第2章~4章 ワクチンについて
第5章 新型コロナの対策(マクロ論)
第6章~7章 PCR検査について
第8章~9章 科学的な考え方について
 
ただ、ワクチンに関してはちょっと専門的なところもあり、きちんと読めば初心者が読んでも理解できるようにはなっているが、さらっと読んで理解しようという姿勢では途中でわからなく可能性があると感じた。
 
一方で、第1章の新型コロナ感染の基礎知識や、第5章の新型コロナのマクロ的な対策については、初心者の方が読んでもしっかり理解できる内容かと思うので、第2~4章のワクチンの話(とくに第4章あたり)が難しいと感じたらここは飛ばして、第5章に進んでほしいと思う。第4章が難しくて、その後読むのを止めたとなるのはもったいないと思う。
 
さて、本書を読んではじめて理解できたことや、曖昧だったことをきちんと理解できたことが多かったので、それらを2回に分けてまとめておきたい。
今回は、エアロゾル感染と検査の感度について。
 

エアロゾル感染

ウイルスの感染ルートとしては、主に空気(飛沫核)感染、飛沫感染接触感染、経口感染などがあり、新型コロナウイルス飛沫感染接触感染が主な感染ルートと言われている。
そこに新しい言葉として、「エアロゾル感染」や「マイクロ飛沫」という言葉で出てきて、少し混乱していたが、ここをきちんと理解することができた。
 
まず、従来「飛沫」は5μm以上で水分を含むもの、空気感染のもとになる「飛沫核」は飛沫の水分が蒸発したもので、5μm未満のものとして区分されていた。
しかし、今回の新型コロナの研究で、5μm未満だけど水分を含む飛沫もあるということで、それを「エアロゾル」や「マイクロ飛沫」と呼ぶようになったとのこと。
エアロゾル感染は、空気(飛沫核)感染ほど感染力が強いわけではないが、密閉された空間では長時間浮遊する可能性があるので、普通の飛沫感染よりは感染が広がる可能性が高いということであった。
直径(5μm以上・未満)と水分の有無でマトリクスをつくって整理するとわかりやすい。
 

検査の感度

新型コロナのPCRを検査の感度(感染している人のうち陽性を判定させる人の確率)は70%くらいと言われている。
新型コロナは、感染者が発症したタイミングやその直前が一番感染させやすいと言われており、この間に検査した場合の感度は80%程度あるが、それ以前になるとPCR検査では感染者を特定することは難しいということであった。
要するに、感度70%というのは全体の平均であって、どのタイミングで検査するかによって、その値は大きく変わるということである。
これは言われてみれば当たり前のことである。
感染当初であればウイルス量は少ないはずなので、偽陰性になる確率は高くなる。
言われてみれば当たり前のことだが、言われるまでは気づかない典型的な話だと思った。
私も検査の感度は静的なものだと、無意識に思っていたが、こういった知識をもっていれば、どういったときに検査をすべきなのか、より正しい意見をもつことができると思う。
 
次回はワクチンに関して、新たに理解できたことをまとめたいと思う。