会食の意義と言語化することの重要性

正直なところ、私はあまり会食が好きではない。もともと人見知りする性格で、誰とでも打ち解けられるタイプの人間ではないので、とくに初対面の人との会食は緊張するのである。
一方で、お酒を飲むことは嫌いではないので、アルコールが進めばそれなりに会食という場も楽しむことができる。お酒の力は偉大である。
という感じで、会食の前はちょっと憂鬱、でも終わった後は楽しかったな、という繰り返しである。
 
私は経営者という立場であることから、好きか嫌いかに関わらず、それなりに会食という場面に遭遇する。
こちらが接待する場合もあるので、ことあるごとに会社の人間には、そういった場面で使えるお店を探しておいて、とお願いしている。
地元ではまだいいのだが、東京や大阪では会食で使えるお店がわからない。だから、いつも会社のメンバーだけで行く居酒屋だけではなく、会食でも使えるお店を2,3軒見つけておいてほしいとお願いしている。
それなのにである。誰も真剣に店を探してくれない。私が東京や大阪に行っても、いつも同じ店に連れて行かれる。会社で経費で飲みに行けるというときでも、どうも面倒くさいのか、ちょっと良さそうな店を開拓してみようということはなく、いつも居酒屋になってしまうのである。
 
いくら言っても誰も探してくれないとイライラしていたのだが、そんなときに読んだ『これからの会社員の教科書』に、会食の意義が言語化されていた。
 
著者の田端信太郎氏はこう説いている。
一緒に食事をとる、ということを軽視しないことです。
一緒に食事をとることは、「あなたは敵じゃないよ」と示すことになります。
 
ここを読んで、会食に限らず、ゴルフとかでも同じことだと思うが、いっしょに過ごすということは、そこに自分の時間(とお金)というリソースを使いますよ、というシグナルになる、ということに気づくことができた。
会食の時間で何かビジネスが進むかどうかというのはどっちでも良くて、いっしょの時間を過ごすということこそに意味がある、ということである。
 
また田端氏はこうも言っている。
「会食の店選び」と「手土産選び」は、大切なプレゼンテーションの舞台です。
 
会食の意義を説いた上で、どういった店選びをするか、会食ではなくてゴルフにするか、釣りに誘うのか、相手の希望をうまく読み取ってセッティングすることが大事なのであると言っている。
また、どういったセッティングをするかということにも時間を使って考えましたよ、ということも重要なシグナリングになるな、と感じた。
 
こういった会食の意義をきちんと言語化して、伝えることができていなかったので、誰も真剣に店を探してくれなかったのだと、この本を読んで気づくことができた。
さっそく管理職全員に配り、改めて会食の重要性を説きたいと思う。
 
以上、何ごとも解像度を上げて言語化しないと、伝わるものも伝わらないな、と反省したという話でした。