制約をテコにする

独身のころはいくらでも時間はあるという感覚だった。
好きなときに本を読めるし、走りにいくのも自由、夜も遅くまで起きていた。
 
それが一転、結婚して子どもが生まれてからは、途端に自分の時間は取りづらくなった。
とくに娘が生まれたばかりのころは嫁もストレスが多かったので、会社から帰ったら娘を連れて散歩にいったり、土日は娘と二人と出かけたりと、嫁から娘を意図的に離すようにしていた。
そのため、なかなか自分の時間は取れず、とくに本を読む時間を確保するのが難しくなった。
 
そんなことを感じていたころ、Voicyというインターネットラジオのサービスに出会い、音声メディアの可能性に気づいた。
さらにはオーディオブックというものにもたどりつき、これだったら娘と出かけて、ドライブしているときに本を読める(聞ける)と喜んだものだ。
 
ドライブ中に本を読む(聞く)ということに至ったわけだが、これは「ザ・ゴール」にあるTOC(制約理論)での思考法と同じだなと気づいた。TOCボトルネックを見つけてそのボトルネックを有効活用しようというもので、要するに制約をテコにしようという考え方だ。 
ザ・ゴール ― 企業の究極の目的とは何か

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今回のケースでは、時間がなくて本が読めないと思っていたのだが、その時間がないという制約を見つめることによって、新たな解決策が出てきた。

そもそも自分が(多くの)本を読み出したのは、サラリーマン時代の通勤電車がきっかけで、通勤電車の中の苦痛な時間という制約を逆手にとって、その時間を有効利用するために本を読み出し、そのおかげで本を読む習慣が身についた。そのときも同じような思考法をしていたわけだ。

 

制約がないということは一見良いことに見えるが、その分資源配分のメリハリが甘くなるという負の側面もある。独身のころは、自分の自由な時間が多かったのだが、その時間めいっぱい有効に使えていたかと言うと、おそらく(というか、間違いなく)無駄な時間が多かっただろうと思う。

 
そう考えると、他にも制約だと思っていることがあったとしたら、逆にチャンスと捉え、その制約をテコにして考えていけばいいということになるので、ちょっと探してみようと思う。
 
ということで、日常生活においてもTOCの考え方は有効である、という事例でした。