ググったらわかることは覚える必要がないのか

よく、ググったらわかることは覚える必要がない、と言われる。
若かりしころの私は、たしかにそのとおりだと思って、そんな細かいこと覚えておく必要なし、とやっていた。統計的な数字とか年代とか、他社の状況とか、いちいち覚えておかなくてもいいやと思っていた。
ところが、とくに経営者として、他の会社の経営者と話をするようになってから、これではまずいぞと思い出した。たしかにググればわかることであっても、会話の最中にいちいちググることはできないのである。
そう、「ググったらわかることは覚える必要がない」は、半分正しくて半分正しくないのである。
 
たしかに、何か資料に落とし込んだり、文書にまとめたりというときであれば、細かいところは調べればいいので、覚えておく必要はない。
だが、会話においてはテンポが大事なので、いちいちググっていては会話にならない。
あるニュースが話題になったときに、それをスマホで調べていては、できない人と判断されてしまうだろう。
ということなので、(どこまで細かく覚えておくかは別として)ググったらわかることも(ある程度は)覚えておかなければいけないのである。
 
これは英語も同じで、よく自動翻訳ができれば英語はできなくてもよくなる、と言われるが、会話はテンポなので、自動翻訳が会話のテンポに追いつけない中途半端な段階では英語ができる人とできない人とではやはり雲泥の差がつくであろう(「AI vs. 教科書の読めない子どもたち」にもあるように、会話のテンポに追いつくレベルの自動翻訳はなかなかできそうにもない)。
AI vs. 教科書が読めない子どもたち
 

 

数字や歴史の年号などについても同じで、どこまで細かく覚えておく必要があるかは議論がわかれるところだが、ある程度のところまで覚えておくと、会話の内容に信頼性がうまれる。ただ事実を覚えているというだけでなく、そこに裏付けとなる数字があるとそれだけでデキるやつだなと思われるのである。 

 
なので、もう1度言っておく。ググればわかることは覚える必要がない、は半分正しくて半分正しくない。
若かりし頃の自分にそう言い聞かせたいと思う今日このごろでした。
 
 
余談であるが、一方でわからないことがあったら、(もちろん時と場合によるが)その場でググることも大事。
理由は3つ。
1.一度調べておくと、大まかな精度の情報を1つ増やすことができるから。人口などの数字情報は、昔とだいぶ変わっていることもあるので、あいまいなままにしておくのではなく、一度確認しておくといい。
2.ちょっと調べるというこんな簡単なことでもできる人は少ないので、それだけでちょっとデキる人と思ってもらうことができるから。ただし、TPOをわきまえて。逆に空気よめないやつと思われてはもったいない。
3.あとで調べようと思ってもたいてい忘れてしまうから。明日の自分を信用してはならない。