昨日、キングオブコント2023が放送された。
こういったお笑い賞レースは好きでよく見るのだが、そのネタを楽しむことに加えて、毎回審査員の採点にも注目している。
キングオブコントの採点方法は、審査員5名がそれぞれ100点の持ち点をもっていて、ネタごとに採点。その合計点の上位3組が1stステージを突破し、ファイナルステージに進出。ファイナルステージも同じ採点方法で、1stステージの得点との合計で優勝が決まる。
こういった持ち点方式の審査、審査員の役割は参加10組を面白かった順に並べることで、そう考えると絶対的な点数に意味はなく、順番に1点差ずつになるように採点すべきである。
仮に、ある審査員だけが、バラつきのある審査をすると、その審査員の全体に与える影響が大きくなってしまうし、逆に同じ点数ばかりをつけていては、その審査員は役割を果たしていないと言えるわけである。
理想としては、最終的には1点差ずつ差がつくように採点すべきかと思うが、番組の特性上、各組がネタを披露するごとに採点しなければならないので、理想通りにはならなかったりするが、それでもそこを目指して採点すべきと考える。
さて、今回のキングオブコントの採点。
トップバッターのカゲヤマで、松本・秋山・山内の3名が95点をつけてしまったことで混沌としてしまう。
上述した原則に照らし合わせると、仮に残りの9組全部が1組目よりも面白かった場合、採点ができなくなってしまうことになる。だから、トップバッターには原則的に91点以上をつけるべきではない。とはいえ、若干のさじ加減で92,93点くらいをつけるのであれば大きな問題はないが、95点をつけてしまうとその後の採点が窮屈になってしまう。
現に、いつもならきっちり1点差ずつ点数がかぶらないように審査をしている松本人志も、今回は結果として点数のダブりも多く、最高点と最低点の点差が5点しかなかった。
本人も途中で1点差ずつつける審査を放棄したと思われ、最初に95点をつけた採点は失敗したと思ったのではないだろうか。裏を返せば、そのくらい高レベルの大会だったとも言える。
この1組目の採点で割を食ったのが、3組目のや団と4組目の蛙亭か。1組目と2組目が高得点になってしまったので、その調整の役割を担わされた感があった。
いつもならトップバッターは不利と言われるが、そこで高い得点を入れてしまったことによるしわ寄せがきたように思えてならない。
さて、今回の採点で問題が多いと感じたのは、かまいたち山内。
1つめは、最初の95点はいいとして、2組目のニッポンの社長に90点をつけたこと。ニッポンの社長よりもカゲヤマを評価したのは個人の判断なのでまったく問題ないのだが、ここで5点差もつけるべきだったかは大いに疑問を感じた。
現に、1組目のカゲヤマと、2組目のニッポンの社長では、審査員5人中3人がニッポンの社長のほうが得点が上だったのに、得点ではカゲヤマのほうがニッポンの社長のよりも1点上回る結果になっている。両組ともファイナルステージに残ったからいいものの、この2組の間がボーダーラインだったら、問題になっていたかもしれない。
もう1つの山内の問題点は、9組目のサルゴリラに97点を入れたこと。
それまでの山内の最高得点は1組目のカゲヤマの95点。結果的にも2位よりも1位に2点多い点数を入れることになっており、1人の影響力が大きくなってしまっている。
大勢には影響なかったが、1つめの問題とあわせて、審査員の役割をあまりわかっていないんだろうなと思った。
そういった点で今回オーソドックスな審査をしていたのは、飯塚と小峠。上述のとおり、いつもはきっちり採点してくる松本は最初でペースを乱した感じか。
とはいえ、各審査員の点数を順番に並べて、1点差ずつ差がつくように補正しても順番は変わらなかったので、全体的にはいい採点だったと言えるだろう。
1人でも役割をわかっておらずにトリッキーな点数のつけ方をする審査員がいると、順位が乱れてしまい、結果として大会の権威が落ちてしまうことにもなりかねないので、気をつけてほしいなと思った次第である。
あと、本筋とは関係ないが、アシスタントのアナウンサーが各組にさんづけするのはやめてほしい。そもそも日本語的には、コンビ名にさんづけするのはおかしいのだが、賞レースである以上は、さらにそこは気を使ってほしいところである。
ということで、審査員の採点は思っている以上に難しい、という話でした。