お笑い賞レースの採点の仕方

昨日のこのブログの記事で、先日行われたM-1グランプリの採点について書いた。
M-1に限らずだが、100点満点の採点方式で、審査員の影響を公平にするのであれば、各審査員において最高得点と最低得点の差は、参加組数-1にしないといけない。M-1の場合は参加組数が10組なので、最高得点と最低得点の差は9点に収めるべきとなる。
これは大きくてもいけないし、小さくてもいけないのだが、差が大きい場合はその影響が大きくなる可能性があるので、より問題視されることにはなるかと思う。
 
そもそも、点数の絶対値には意味はない。
よく史上最高得点とか、トップバッターの最高得点とか言われることがあるが、本質的には何も意味がないと思う。
あくまでもその大会内での、参加者の相対比較に意味があるのであって、大会をまたいでの点数には意味がないはずである。
 
また、M-1に関して言うと、トップバッターに92点以上の点数をつけるのは、基本的にダメである。もし、残りの9組がトップバッター以上に面白かったとなると、点数がつけられないからである。
もちろん、その可能性まで考慮して、93~94点あたりをつけることはなくはないが、100点をつけづらいことを考えると、上ブレリスクに対応した点数のつけ方をせざるを得ない。
 
今回、物議を醸した山田邦子の採点だが、トップバッターのカベポスターに84点、次の真空ジェシカに95点と、いきなり11点差をつけている。
このあと修正してきて、残りの8組はすべてこの間に収めたので、山田邦子の点数が、他の審査員に比べて大きく影響することはなかったが、残り8組の漫才を見る前にこの採点はやはりないかと思う。
 
これは何も、客観点な点数のつけ方をしないといけないと言っているわけではない。独自の視点で採点すればいいし、好みが入ってもいいと思う。ただ、その順番をつけることに意味があるのであって、そこに必要以上の点差をつけるべきではないと言いたいだけである。
 
もしも、10組すべてを見た後に、面白かったというか評価の高い順に並べるのであれば、それほど審査は難しくないはずである。
しかし、番組の演出上、毎回点数をつける必要があり、まだ残りの組の内容を見ていない段階で、この順番をつけることを意識して点数をつけるのはやはり難しいと思う。
それもできるだけ点数差をつけないようにしないといけないとなると、相当苦心するはずであるが、審査の公平性が大会の権威を担保する思うので、すべての審査員が自分の持ち点と役割を認識して審査にあたってほしいと思う次第である。
 
ということで、賞レースの審査は相当難しいように思う、という話でした。