お笑い賞レースに見る、審査員の点のつけ方問題

キングオブコント2021が開催された。
こういったお笑い賞レースはM-1はじめいろいろと開催されており、私も楽しみに見ているが、いつも気になるのが審査員の点数のつけ方。
今回のキングオブコントは審査員が変わるということで、この点数のつけ方にも注目して見ていた。
 
私が気になったのは、2番目のジェラードンに対して、ロバート秋山がつけた96点。秋山はトップバッター蛙亭に対して、90点をつけており、その差が6点だった。
 
なぜ、私がこれが気になったかというと、審査員がすべきなのは、参加10組を上から順位づけをすることであると考えているからである。
 
わかりやすく説明するために、2組参加のコンテストに対して、3人の審査員が同じように100点満点で評価する例で考えてみたい。
最初に出たAに対して、審査員が90点、91点、89点をつけたとする。
次に出たBに対して、審査員が89点、90点、95点をつけたとする。
するとAが270点、Bに274点となり、Bが勝者となってしまう。だが、これはおかしいと感じるだろう。なぜなら、審査員3名うち2名はAのほうを評価しているのに、1人だけBに対して高得点をつけてしまったために、Bが勝ってしまうという結果になっているからだ。
 
こういった評価をする場合には、審査員には同じだけの権限というか票数をもたせるべきということになる。できれば、全参加者の内容を確認した上で、上から順番をつけさせるということをすればいい。今回のキングオブコントであれば、全出場者のコントが終わった段階で、それぞれの審査員が1位から10位をつけて、その順位の数字を足しあわせて、小さい順に3組が決勝に残るということにすればいい。
しかし、番組の演出上、毎回点数をつけたほうが盛り上がるので現在のような方法が取られているのであろう。
 
それであるならば、審査員はどういった点数のつけ方をするべきか。
基本的には、10点範囲内で、すべての参加者が1点差ずつになるように点数をつけることが求められる。ただ、これはなかなか難しくて、中には同点になるケースもあるだろうが、基本5位と6位といった隣あった順位で2点差以上にならないように配慮すべきである。なぜなら上述したように、ある審査員の評価が過度に影響されてしまうことを避けるためにである。
 
そう考えると、審査員の仕事はなかなか難しい。まだ全参加者の内容を見ていない段階で、きれいに1点差ずつで並ぶように点数をつけていかないといけないからだ。
この視点で今回の審査員別の得点を見てみると、松本人志はさすがにこの手の審査員を長くやっていることもあり、一番高い評価をした空気階段から、1点差ずつの得点をつけており、うるとらブギーズとニューヨークに同じ90点をつけている以外は、すべて隣どうしが1点差になっている。
小峠、飯塚の両名も、それぞれトップの空気階段と二番手だけ2点差をつけているが、それ以外はすべて1点差におさめており、おそらく意識して評価していたことが伺える。
一方で、山内と秋山は、隣どうしで2点差というケースが2つあり、とくに秋山は冒頭書いたように、1組目と2組目で6点差をつけており、あまり意識していなかったように思われる。
 
単純に各審査員の中での、各参加者への順位だけで評価しなおしてみたところ、上位3組が変わるわけではなかったので、その点においてはよかったと思う。
ただ、4,5,6位は、番組上はニッポンの社長ジェラードン蛙亭の順番だったが、各審査員の順位だけを参照すると、蛙亭ニッポンの社長ジェラードンの順番であった。
 
M-1も第1回目などを見返してみると、このあたりの点数のつけ方がめちゃくちゃだったが、最近は審査員も強く意識して、自分の評価だけが過度に順位に影響しないようにしていることが伺える。
 
以上のように、こういった賞レースの審査員は、基本順位をつけるのが仕事なので、歴代最高点とかはハッキリ言って意味がない。あるとすれば、1番目の参加者の評価が良かったので、それに引きづられて全体の点数が高くなったということは言えるかもしれないが。
 
ということ、審査員の点数をつけ方に注目してみると面白いかもしれない、という話でした。