自分の本心に正直であることは難しい

昨日の記事で、自分の本心が見えなくなってしまうと危険なので気をつけようを書いたら、まさにその例となるようなことが起こった。
妻が上の娘(5歳)とけんかしたらしく、憤っていたので、先日私が読んで面白かった教育に関する本を勧めてみた。
すると、妻は半分キレ気味に、息子(9ヶ月)の授乳で寝れなくて頭もガンガンするのに本を読めるわけがない、と言ってきたのだった。
 
これはまさに自分の本心を偽っている典型例である。睡眠不足であることは間違いないし、この点では偽りはないのだが、ただほんとは本を読みたくないだけなのである。それなのに、他のことを理由に拒んでいるのである。
だったら断乳したら読めよ!と喉まで出かかったのだが、グッと堪えて何も言わずに引き下がった自分を褒めてあげたい。
もっと言えば、子育てで忙しいから本を読めないのではなく、本を読まないから子育てが忙しくなるのだが、それを議論しても詮無いことなので、気長に学ぶことを理解してもらうよう努めていきたいと思う。
 
ただ、本を読むのが嫌だということであれば、代替案を示すことができる。目的は子どもとのかかわりかたを模索することだから、いろいろなやり方があるはずだし、それを私が提案できるかもしれない。
また、本を読むのが嫌だということに自覚的になれれば、子どものかかわりかたを知るというメリットと、本を読むというコスト(=労力)を天秤にかけて、読むか読まないかの判断をすることもできる。
 
こんな感じで、まずは自分の本心はどこにあるのかというところからスタートすることが大切なのである。
 
そんなことを考えていたら、前に同じようなことがあったことを思い出した。ある就活生と話をしたときのことである。
 
当時、その就活生はまわりが内定をもらう中、まだ内定が出ておらずちょっと焦っているとのことだった。
どういった職種や業種を考えているのか聞くと、コンサルタント志望ということで、問題解決に役立つ仕事がしたいと言っていた。
そこで、ほとんどの仕事は問題解決するためにやるものだと言いそうになったが、そんな無粋なことを言うのも大人気ないと思い直した。
 
その就活生の本心は「コンサルタントになりたい」なのである。
ただ、「コンサルタントになりたい」という本心を言うと、ちょっとミーハーというか表面的だと思われるのが嫌で、他の言葉に置き換えて、自分がそれに向いている人間なんだというストーリーをつくりこんでいるのである。
これは些細なようなことに思えるが、しかし自分の本心からちょっとずつ外れるので、面接官からは見透かされ、面接で苦戦する。
また、他の選択肢や可能性を狭めてしまうので、こういうタイプは就活に苦労することが多い。ちなみに私も就活のとき、こんなタイプであった。
 
では、どうすればいいか。
まずは「コンサルタントになりたい」という本心を素直に認めることからはじめる。その上でなぜコンサルタントになりたいのかを考える。
するともっと具体的なイメージが出てくる。パソコンを小脇に抱えて颯爽と現れプレゼンをしたいのか、クライアントから感謝をされたいのか、それともシコシコデータ分析をしたいのか。
これらのイメージだけでも、なりたい要素は大きく違ってくる。自分の本心ではどれに憧れているのか、どうなりたいのかを、深堀りしていくのである。
その具体的なイメージをもとに、業種や職種、応募する会社を絞っていき、志望動機をつくることができれば、自ずと会社のほうから選んでくれるものである。
 
何はともあれ、自分の本心と向き合うところから始めないといけない。
だが、これは言うは易く行うは難しの典型で、実践しようと思ってもなかなか難しい。
本人としてはウソをついているつもりはなく、微妙に本心からズレているだけだから、そのズレに気づきにくいのである。
そのズレは、自分の心をよく観察しないと気づくことはできない。
 
ということで、 自分に正直であることは難しい、という話でした。