久しぶりに紙の本を読んでみたら

最近、紙の本を読んでいなかった。
本を「読む」ときはKindle、本を「聞く」のにはAudiobookというサービスを活用している。
 
紙の本を買うのは、Kindle版が出ていないときくらいで、最近は電子書籍にならない本はほとんどないので、Kindleで買って読むということが習慣化している。
Kindleが出たてのころは、やはり紙の本のほうが読みやすいなと思っていて、とくに学術的な本であったり、ボリュームがある本は紙のほうがいいなと思っていたが、これは慣れの問題で、次第にKindleのほうが読みやすいと感じるようになっていた。
今では、紙とKindle、どっちにするかと聞かれた迷わずKindleと答えるだろう。
 
そんな中、「新型コロナとワクチン 知らないと不都合な事実」という本の著者の山中浩之氏から献本をいただいた。
実はその連絡をいただいたとき、私はすでにKindle版を購入していて、半分くらい読んでいたのだが、献本をいただくということがはじめてで、著者の方から連絡いただくということがうれしくて、献本をいただくことにした。
私の手元には、Kindle版と紙の本を2つの同書が並ぶことになった。
 
とはいえ、Kindle版で途中まで読み進めていたので、こちらで読み切った。
ただ、この本は、「xxページで言っているように」とか、「というお話はしましたね(○○ページ)」といったように、前に説明したページを付記して確認できるようになっているのだが、Kindle版では行き来ができないので、ちょっとフラストレーションを抱えながら読んでいた。
そこで、せっかく紙の本もあるので、そういう箇所をピックアップしながら読みなおしてみたら、一読しただけでは理解できていなかったところが思ったよりも多く、結局紙の本でもう1回読むことになった。
 
いただいた紙の本も、アンダーラインが数多く引かれ、読み込んだ感じの本が出来上がった。
上述のとおり、Kindle派の私だが、2度目を読み終わるころには、紙の本で読むのも悪くないなと思うようになっていた。
 
では、紙の本の何がよかったのか。
思ったこと、感じたことをまとめておきたいと思う。
 

ページの移動がしやすい

まず1つ目は、紙の本を開こうと思ったきっかけでもあるが、ページの移動がしやすいということ。
今読んでいる箇所より前に参照したほうがいい内容がある場合は、そこに戻って確認したいが、Kindleではやりにくい。中にはリンクが貼ってあり、移動できるようにしているものもあるが、それでも行き来はちょっとめんどくさい。
とくに本書は、そういった参照ページが明記されており、そこを確認したほうが理解が進む。索引があるような専門書であれば、なおのことであろう。
 
Kindleではこの戻るという作業ができないために、理解が浅くなってしまう危険性があると感じた。
その点、紙の本では、ページの行き来のストレスは少ない。いったん前を確認して、そして現在読んでいたところに戻る、ということが容易にできる。
とくに専門的な内容の本を読むときには、紙の本のページ移動のメリットは大きいな、再確認することができた。
 

引用するときにすぐにそのページにいける

2つ目。これは1つ目に似ているが、読んでいるときでなく、読後に感想やまとめを書くときに感じたメリット。
引用したり、内容を再確認したいときにすぐにその箇所にいけるというのは、紙の本のほうがかなりやりやすい。
Kindleの場合だと、ページ数という概念はなくもないが、仮にそのページをメモっていたとしても、ダイレクトにそこにはいけない。
その内容が書かれている章の最初の部分に行き、何回かページをめくってたどり着ける。
ここのストレスは思っていたより大きく、何かアウトプットするときには、時間がかかるし、気分的な負担が大きい。
読後にアウトプットを予定している本は、紙の本にまだ優位性があるなと感じた。
 

アンダーラインを引く行為に微妙な違いがある

3つ目は微妙な違いで、言語化が難しいのだが、アンダーラインを引くという行為にKindleと紙の本でちょっとした違いを感じた。
 
Kindleでは該当箇所をなぞるとアンダーラインを引くことができる。またそれを一覧で表示させることができるので便利だ。
一方で紙の本の場合、私は赤ペンでラインを引く。アナログなので、引いた箇所を一覧できるような機能はもちろんない。
ペンで本に線を引くという行為だけ見れば、紙の本でもKindleでも本質的な違いはなく、一覧表示できる分だけKindleのほうがいい。
 
しかしである。紙の本であれば、線を引くだけでなく、単語に丸をつけたり、チェックしたい箇所が長いと四角で囲ったり、関係性を示したいときには矢印をつけたりと、自由に書くことができる。
この自由にかけるという体験が久しぶりで、うまく言えないが気持ちいいのである。
このあたりは何が良かったのか、今後もう少し言語化を試みてみたい。
 
 
と、こんな感じで、今回思いがけず、紙の本を見直すきっかけとなった。
とくに専門的・学術的な内容の本や、何かしらのアウトプットを想定しているときは、紙の本を読むということも選択肢に入れようと思う。
 
ということで、献本がきっかけで、紙の本の良さを再確認したという話でした。