レンタルビデオ店のバックエンド商品

先日、レンタルビデオ店で借りたDVDを1日延滞してしまった。
言い訳をすると、いつもは土日に借りることが多いのだが、このときDVDを借りたのが金曜で、それでついつい忘れてしまっていた。
とはいえ、忘れていた私が完全に悪い。やってしまったなあと思いつつ、返却期限日の翌日に返しに行った。
 
このとき借りていたのは3本のDVDで、延滞料金は1泊・1本あたり100円で300円くらいだろうかと思いながら返却すると、思いがけない額の延滞料金を請求されて驚いた。その額、なんと792円(税込)であった。
 
このレンタルビデオ店のDVDレンタル料金は旧作が2週間で50円(税抜)である。フルで2週間借りれば、1泊あたり4円弱である。
それなのに、延滞料金は1泊あたりで240円(税抜)、どういった値付けをしているのかよくわからんなあと思いながら、動揺したのを悟られまいと、淡々と(心のなかでは渋々)その料金を支払った。
 
昔は旧作DVD(やビデオ)は1週間単位でのレンタルが一般的だったと思うが、この店は2週間単位で、しかも50円。正直倍以上の値付けをしてもいいと思うのだが、かなり安い価格を打ち出している印象だった。
しかし、延滞料金は私の感覚では100円程度だと思ったのだが、240円(税抜)とかなり高くて驚いたというわけである。
 
腑に落ちないままいろいろと考えていると、このレンタルビデオ店の価格政策は、フロントエンド商品として安い料金のレンタルDVDを提供して、バックエンド商品として延滞料金で儲けているのではないかとすら思えてきた。
 
フロントエンド商品とは最初に見込み客に提供する商品・サービスのことで、バックエンド商品とはフロントエンド商品後に販売する商品のこと。フロントエンド商品の利益率は低いが、バックエンド商品の利益率が高く、全体として利益を上がることができるというマーケティング戦略の考え方である。
マクドナルドで言えば、フロントエンド商品がハンバーガーで、バックエンド商品がドリンクにあたるし、トイザらスのようなおもちゃ屋であれば、フロントエンド商品としてオムツを安売りで出してたりする(安いオムツ目当てで買いにくるが、子どもがおもちゃを欲しがるので、オムツだけ買って帰るわけにはいかないという構図)。
 
今回のレンタルビデオ店でのケースでは、単価の低く、レンタル期間の長い商品で、顧客を惹きつけておいて、そこでは利益を見込まずに、多数レンタルした人が延滞することで得られる利益を狙っているのではないか、と思ったというわけである。
 
DVDであればそれほど多くの本数を借りる人は少ないかもしれないが、最近はコミックをレンタルしている店舗を多く、コミックであれば一度に多く借りることが多いだろうから、ここで延滞するとかなりの額になると思われる。
 
また、旧作のレンタル期間を2週間にしていることも絶妙で、少しいやらしいと感じている。長く借りることができるからいいじゃないか、と思うかもしれないが、2週間あるから返却はもう少し後でもいいや、という感覚に陥ってしまう。そうこうしているうちに、借りていること自体忘れてしまって、長期延滞となってしまう人がそれなりにいるんじゃないかと感じた。
 
普通に考えれば、レンタル料金50円で延滞料金が240円よりも、レンタル料金が100円で延滞料金が100円のほうが納得感はあるし、後者のほうが利益が高そうに見えるが、もしかするとそうでもないのかもしれない。
もちろん、店側に確認したわけではないし、確認するつもりもないのだが、延滞料金の額を聞いて、こんなことを考えてみて次第である。
 
ということで、今後は延滞しないように1週間以内には返そうと誓った、という話でした。