コンサルタントを雇う3つの意義

私は少し前に、結果にコミットしてくれるパーソナルトレーニングに通っていた。おかげさまで、約3ヶ月という期間で10kg近く減量することができたわけだが、パーソナルトレーニングに通うということは、コンサルタントを雇うことと同じだな、と感じた。
コンサルタントを雇うとき、雇う側の会社はそのコンサルタントの専門性を期待するのだけれども、それ以外にも(というかそれ以上に)以下の3つのコンサルタントを雇う意味があると思う。
 
1.スタートのタイミングを早めることができる
2.プロジェクトの期間を短くできる
3.例外に対応してくれる
 
1.スタートのタイミングを早めることができる
コンサルタントを雇うことは、お金で時間を買うことだ、と言われることがあるが、ここで言う時間にはさらに2つの意味合いがある。1つはスタートするタイミングという意味での時間、もう1つはプロジェクトの期間という意味での時間である。
個人であれ、会社であれ、何かに期間限定で取り組むことをプロジェクトと表現するとしよう。当然のことながら、そのプロジェクトは成功させなければならないが、その確度が低いとなかなか実行に移すことができない。自分や自社だけでは、把握できていない事項があるのではないか、まだ全体を理解できていないと思えば、そのプロジェクトを実行に移す踏ん切りがつかない。そこでコンサルタントの登場である。あらかじめ、全体像を示してくれ、(後述する)例外にも対応してもらえると実感できれば、成功への確度も高まり、スタート時期を早めることができる。実績があれば、自社でも成功に導いてくれるのではないかと期待することができる。
 
私のパーソナルトレーニングの場合、有名なパーソナルトレーニングスタジオだったこともあって、それほど迷わず実施に踏み切ることができた。当時、その後のスケジュールを考えるとそのタイミングでしか実施できなかったのだが、ピンポイントのタイミングで開始することができて良かった。もしそのタイミングでうだうだ考えていれば、おそらく今も元の身体のままだった。
 
2.プロジェクトの期間を短くできる
ここでは「お金で時間を買う」のもう1つの意味である期間のこと指している。コンサルタントがプロジェクトのタイムマネジメントをしてくれるので、期間が短くなるという意味である。会社でも個人でも、何か自分で取り組もうとしたとき、今日は忙しいからいいかとか、緊急の対応をしないといけないとか、いろいろな理由をつけて先延ばしにする。易きに流れるのが普通の人である。それを回避するために、タイムマネジメントしてくれる存在は非常に大事である。タイムマネジメントというと、コンサルタントが何かしっかり管理してくれるような響きだが(もちろんそういったこともしてくれるのだが)、要は時間の約束をすることそれ自体がタイムマネジメントとなるのだ。
 
「いつも「時間がない」あなたに 欠乏の行動経済学」という書籍で、「多忙な人は重要だが緊急でないスポーツジムのことはほったらかしにしやすい。個人トレーナーと契約すると、この問題が軽減する。」と紹介されている。さらには「心がけを必要とする行為を、できるだけ1回限りの行動に変えることだ。」ともある。
いつも「時間がない」あなたに: 欠乏の行動経済学 (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)

いつも「時間がない」あなたに: 欠乏の行動経済学 (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)

 

私も場合も、月額制のスポーツジムに通っていたが、ついに通わなくなってしまった。やはり意思の力に頼るのは難しいということである。そこで、パーソナルトレーニングであるのだが、これは上記のとおりである。おかげさまで、2ヶ月半という短い期間で一定の成果を出すことができた。短期間でみると支払った対価は大きかったが、長期的にみると月額制のスポーツジムに支払う対価と比べても安かったと感じている。

 
3.例外に対応してくれる
プロジェクトを実施するということは、これまでの何かを変えるためであることが多い。人間、現状維持を好むので、いろいろなところで抵抗を受けやすい。会社であれば変わることを拒む人から抵抗を受けるし、個人であればちょっとした不安からやっぱり前のままでいいやとなってしまう。
コンサルタントを入れていないプロジェクトの場合、何か例外的な事項が出てくると、「ほらやっぱりうちの会社には合わないんだ」とか「これまでよりもっと悪くなる」と抵抗を受けることになる。経営な手法についてであれ、個人的な減量のことであれ、基本的な理論は、今や書籍やウェブなどからの情報で手に入れることができ、おおよそその理論の8割から9割がたは簡単に入手できる。しかし、例外的な事項が残りの1割に該当すると、プロジェクトの推進者は抵抗者を説得することができなくなってしまう。だからこそのコンサルタントである。パレートの法則では、重要な2割を理解しておければ、全体の8割をカバーできるとあるが、ことプロジェクトの推進に関しては残りの1割が大事なことが多くあるというのが実感である。
 
私も以前、自分で糖質制限に取り組んだとき、軟便だったのが急に固くなり不安で途中で辞めたことがある(これは身体が変わる途中の変化で、糖質制限を続けていれば適度なところまで戻る)。また、私の勧めで糖質制限に取り組んでいた人が、「糖質制限は老化を促進する」というニュースを聞いて辞めてしまったということがあった。こういったことも、専門家の適切なアドバイスがあれば、継続できたのにと思ってしまう。
 
以上が、パーソナルトレーニングの実施から考えた、コンサルタントを雇う3つの意義である。
加えて、パーソナルトレーニングの場合は、相応の対価を支払う、ということも大きな成功への要因になるかと思う。人間、損はしたくないので、元を取ろうという意識が働く。これがもっと安価であったら、結果にコミットするあの会社もここまでの実績を上げることはできていないのではないだろうか。