もう1週間前になるが、「映画えんとつ町のプペル 約束の時計台」を見てきた。
上映開始の週末での鑑賞だったが、お客さんの入りは芳しくなく、コロナ下で上映された前作と比較しても少ない印象だった。
原作・脚本・製作総指揮は、西野亮廣氏。西野氏への評価はファンとアンチでは天と地の差があるが、私のスタンスとしては、ビジネスパーソンとしてはすごいと思うし、クリエイターとしては正直あまり好みではない、といった感じ。
さて、そんな西野氏の映画第2弾となる今作の感想は、前作よりも良かったし、そういった比較なしでも良い作品だったと思った。
総じて良い作品だと思ったが、いくつかの引っ掛かりというか疑問もあった。
1つは、主人公のルビッチが大時計を動かすミッションを与えられる理由が正直、ご都合主義に感じた点。物語上の動機や理由って、テレビドラマや小説とかだと丁寧に話が進むのだが、今作に限らず映画だと雑に流されることが多いような気がする。そんなものなのだろうか。
もう1つは、途中ヒロインが歌う挿入歌が「366日」なのには大きな違和感を覚えた。現実世界とは別の世界を描いているのだから、そこはこの世界とリンクする曲を選んじゃダメだろ、と素直に思った。なぜこの選択をしたのかは不可解。
他にも細かい違和感はあったが、総じて内容としては良かったし、子どもたちも最初はその世界観を怖いと感じていたようだが、最後は観て良かったと言っていた。
で、そんな今作、西野氏自身もYouTubeやVoicyといったメディアで公表しているように、スタートダッシュが切れず、いわゆる爆死の危機に瀕しているいるとのこと。映画は上映開始からある期間で盛り上がらないと、徐々に上映数が減り、早期に上映自体が終わってしまう。昔あったオーディション番組で、前半で審査員の心をつかまないと時間切れとなる方式のものがあったが、それと似たような構造か。如何に良い作品であっても、ある期間までに売れないと、そこでお終いになってしまう。
上述したように、今作、私は良かったと思ったし、巷の評価も悪くないらしいが、それでも観客動員数が伸びなければ上映中止となってしまう。そんな状況を見ていて、以前西野氏が言っていた、認知と人気の話を思い出した。
西野氏は若いころからテレビに出て、多くの人から認知されていたけど、いざ単独ライブや独演会をしようと思ったら集客に苦戦したとのことで、そのことから認知と人気は別モノで、きちんと人気を得ることが大事だと認識したという。そこから、チケットの手売りといったどぶいた営業をしっかりやっているとのことで、その結果、日本最大のオンラインサロンを運営したり、クラウドファンディングで多額の支援を集めるようになった。昨年行われたミュージカル公演でも3万枚のチケットを完売させたということで、地道に人気を獲得していったことがわかる。
しかし、今回の状況を見て、映画というエンターテイメントは人気では動かないのだと感じた。ミュージカル公演3万枚完売させる西野氏の人気をもってしても、桁が2つ違う映画の動員は難しく、一周まわって映画の動員においては認知が大事な戦いなんだなと思った。
今回の映画に際して、西野氏は地上戦も空中戦もやれることは全部やったと言い切っている。地上戦はいわゆる手売りを1年前から実施。ムビチケを全国各地に売っている様子はVoicyでも聞いていたし、私も地元に彼が講演会で来たときに購入した。空中戦においても、上映前の3月は多くのテレビの番組に出演して、宣伝に出向いていた様子はよく目にした。
それでも、なぜダメだったのか(まだダメかどうかわからないが)。
地上戦は西野氏のファンに広げる活動して良かったと思うだが、空中戦のほうは西野氏の認知を広げる活動で、プペルの認知を広げる活動になっていなかったように感じる。せっかく出演しても映画の話はあまりなく、いつもの西野いじりで終わってしまい、作品やそれまでの創作活動を伝える場になっていなかったので、ファンやアンチはいいとしても、それ以外の間の層に「プペル」の認知の広がらなかった、と分析する。
例えば、NOBROCK TVやアメトーークなどで西野氏が出演していて、どちらも西野氏をいじる内容で、西野氏がフィーチャーされた内容だった。西野氏を全面に出すのではなく、プペルの認知を獲得することに重きを置くような内容にすることを番組側に要求することもできたと思うし、そうであれば結果は違ったのではないかと思うわけである。
彼自身、ここから盛り返すといろいろと手を尽くしているようで、こういった動きができるのは、素直に尊敬する。ただ、それをもって本当にひっくり返せるかどうかはわからない。実際、私のよく行く映画館では、上映当初の1日5上映から、今週は3上映になり、この週末から1上映に減っていて、もうかなりやばい状況だとうかがえる。都市部と地方では状況が違うのかもしれないし、瀕死の状況から盛り返すかも可能性もあるだろうが、ここからどう推移していくのか、見てみたいと思う。
ということで、「映画えんとつ町のプペル 約束の時計台」を見て、改めて認知と人気は違うということ感じたので、そのことをまとめてみた、という話でした。