日本は本当に二季の国になったのか

やっと8月も終わりに近づいてきたが、暑さは一向に和らぐ気配がない今日このごろ。

今年は5月くらいから夏モード、6月末あたりから猛暑モード。猛暑は9月の終わりくらいまで続くと考えると、夏は5ヶ月、そのうち猛暑は3ヶ月くらい続くと考えておいたほうがいいのかもしれない。

さらには、どんどんと春と秋がなくってしまい、日本は四季の国ではなく、二季の国になってしまうかもしれない、なんてことも言われだしている。

 

そんなことを考えていると、私が中学か高校のときに現代文のテストで出ていた文章のことを思い出した。そこでは、日本は四季の国と言われるが、実は春と秋の時期は短く、夏と冬の2つの季節しかないのだ、二季の国だ、というものがあったのを覚えている。

この文章、調べてみると、大阪市立大学で長く教職についた吉良竜夫氏のものらしい、ということが、最近の日経の記事に出ていた。

 

www.nikkei.com

 

吉良は言う。「日本は四季の別が明らかで、自然のめぐみゆたかな国……とは、かつての国定教科書のうたい文句だったが、ほんとうはうるわしい春と秋の季節はあまりにも短い。日本の大半は、長い夏と長い冬の交代する国、蚊帳とこたつの交代する二季の国なのである」(梅棹忠夫多田道太郎編「日本文化の構造」講談社現代新書、1972年)

さらに、この記事を書いている、実践女子大学教授・佐倉統氏は、以下のように説いている。

快適な春と秋がなくなったのではなかった。もともと短かったこの2つが、さらに短くなっただけなのだ。量の違い。程度問題。

このことを知ったからとて猛暑がやわらぐわけではないけれど、季節対応の心構えは変わってこよう。四季が二季になったと騒ぎ立てるのではなく、今の姿は日本がもともと持っていた性質が少し極端になったのだ、今までの夏と冬の対策を少し強化すれば当座は十分なのかもしれない、と。

 

たしかにそんなものかな、と思ったりもしたのだが、実際のところどうなのだろうと思い立ち、ちょっとデータを紐解いてみることにした。

毎度おなじみの気象庁のデータで、私が住んでいる最寄りの地域(西日本の瀬戸内地方)の過去40年近い気温をもとに整理してみた。

 

ここでは便宜的に、最高気温25℃以上の日を夏の日、最高気温15℃未満の日を冬の日、その間の最高気温15℃以上25℃未満の日を春・秋の日とする。

そして、それぞれの日が、1980年代(1980-1989年)、1990年代(1990‐1999年)、2000年代(2000-2009年)、2010年代(2010‐2019年)、2020年代(2020-2024年)の各年代において、1年あたり平均何日あったかの推移をまとめたのが以下。

 

1980年代 夏:107.0日(29%) 冬:127.0日(35%) 春・秋:131.3日(36%)

1990年代 夏:113.4日(31%) 冬:119.7日(33%) 春・秋:132.1日(36%)

2000年代 夏:124.7日(34%) 冬:114.0日(31%) 春・秋:126.6日(35%)

2010年代 夏:132.4日(36%) 冬:109.4日(30%) 春・秋:123.4日(34%)

2020年代 夏:143.8日(39%) 冬:88.2日(24%) 春・秋:133.4日(37%)

 

最高気温25℃以上の日を夏日というので、これを夏の日と区分することに異論はないと思うが、一方で冬日は最低気温が0℃未満の日で、これを基準に冬の日を設定すると実感値としてはかなり寒い日だけとなってしまう。最高気温が10℃未満を冬の日と設定しようかと思ったが、これもちょっと寒い日だけになってしまうので、ここでは最高気温15℃未満の日を冬の日として、間の15-25℃の日を春・秋の日としてみた。

異論はあるかもしれないが、いったんこの基準をもとに数字を見てみたいと思う。

 

こうやってみると、夏と冬と春・秋の比率は、それぞれ3分の1くらいで、やはり4つの季節が当分されているのではなく、春と秋は少ないということがわかる。春や秋というちょうどいい季節のころは短く、二季なのだというのは、吉良先生の言うとおりかもしれない。

 

続いて時間による推移だが、明らかなのは、夏の日が増え続けていること。近年では1年のうちの40%近くが夏となっている。地域によってはこれを超えているところも多そうであるし、おそらくこの傾向は続くのだろう。

逆に、冬の日は減少していて、とくに2020年代に入ってから大きく減ってきているのがわかる。春・秋は、思ったよりも減ってなく、傾向としては横ばいか。

夏の日数は右肩上がり、冬はその逆、春・秋は横ばい傾向と言えるだろうか。

 

まとめると、もともと四季というよりは夏と冬の二季の傾向があったが、時間的推移としては、夏は長期化、冬が短くなっていて、春・秋は思っているより変わっていないという感じ。

春や秋が短くなって二季の国の傾向が強まるというよりも、冬の存在感が薄まり、夏一強の一季の国になっていくのかもしれない。

 

ということで、日本は二季に向かっているというよりも、一強三弱の季節構成になってきている、という話でした。

 

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