妻の車がだいぶ古くなったとういうことで買い替えることになった。
もう10年以上乗っていて、最近ではエアコンの調子が悪いということで故障することも多く、そのたびに修理してもらっていたのだが、今回車検のタイミングでもあったので、もういいだろうということで購入することに。
知り合いの車屋に行って、適当な車を紹介してもらい、妻もあまりこだわりがないので、勧められたオプションをつけて購入することにした。
その際、メーカーのつくっているアプリを入れると、来店せずに電子契約ができるとのことだったので、そのアプリをダウンロードしたのだが、このアプリがぜんぜん使えない。というか、アプリを使う場面がないといったほうがいいかもしれない。
アプリ自体も実質はウェブページで、サクサク感はなく使い勝手が悪いのだが、実際に契約の段になると、アプリから契約するのではなく、メールに契約書のページのURLが貼ってあって、そこから契約書にサインするという流れなのである。
アプリを入れると電子契約ができるという触れ込みだったが、アプリから会員登録をするだけで、別にウェブページからでも良かったわけである。
電子契約のインターフェースもわかりにくく、世界企業の自動車がメーカーがよくもこんなクソなアプリやページをつくるもんだと、呆れることとなった。
ただ、ここで言いたいのは、その自動車メーカーのアプリやウェブページへの文句ではない。
車という高額な買い物をするのに、電子契約で行うことの是非についてである。
結論から言えば、車の購入に対して、電子契約という方法は採用すべきない。
理由を説明する前に、マーケティングのフレームで以下のようなものがある。
そのフレームは、購買者の製品判断力と購買関与度を、それぞれ高い/低いで分けて、2×2のマトリクスにしたもの。
製品判断力とは、購買者がその製品のことをよく知っているかどうか。
購買関与度とは、購買者がその製品を購入するにあたりどれだけ関与しているかどうか。
このフレームでは購買者のタイプが、以下の4つに分けられる。
1.製品判断力あり×購買関与度高
2.製品判断力あり×購買関与度低
3.製品判断力なし×購買関与度高
4.製品判断力なし×購買関与度低
で、このフレームにおける、今回の妻の車の購入に関する私の立場は4である。
正直、車に関する知識はあまりなく、さらに今回は妻の車ということでこだわりもない。ということで、4の製品判断力がなく、購買関与度も低いという状況である。
そんな4の立場にある私に対して、営業するディーラー側から、電子契約はやめておいたほうがいいと思う。
もう少し詳しく説明すると、いくら購買関与度が低いとは言え、車の購入となるとそれなりのお値段になる。今回の購入する車も軽自動車とはいえ、200万円前後の価格。そんな高額な商品を買う場面において、私のような製品判断力の低い人間が電子契約という方法で契約するのには、少なからず抵抗があった。
こちらとしては多少面倒でも、きちんと店に行って、そこで契約するという儀式をしておいたほうが、納得感が高かったなと思ったわけである。
だったら、こちらが電子契約を選ばなければよかっただけではあるのだが、最近の車の買い方もわからない私としては、言うがままになってしまった。
では、他のどれだったら、電子契約に適しているのか。
車の購入となると、大半は購買関与度が高い買い物になると思われる。高額の買い物でもあるので、基本的には電子契約などせずに、従来通り来店してもらって(もしくは客先に出向いて)の契約がいいと思う。
また、私のように製品判断力の低い客については、きちんと説明をしての契約にしないと、後々のクレームにもなりやすいとも感じたので、こういうタイプも対面での契約のほうがいいだろう。
となると、製品判断力が高くて、購買関与度が低い顧客には、電子契約もありかと思うが、車の購入ではそんな顧客はほとんどいないだろうから、結果電子契約なんてことをしなくてもいいとなる。
そこにリソース割くくらいなら、より良い車をつくるか、安くするか、そういったところに力を入れてほしいと思った次第である。
ということで、車の購入にあたって電子契約は使用しないほうがいいと思った、という話でした。