東京の物価と赴任の手当

ちきりん氏がVoicyで「東京と地方の物価はどっちが高い?」というテーマで話をしていた。 
結論としては、土地だけは東京が高いが、それ以外のものは東京のほうがむしろ安いというもので、東京は高いものから安いものまで揃っているので、高いものは確かに高く、それにより物価が高いというイメージがあるが、同じもので比べれば同じか安いと言っていいということであった。
私自身、12年間東京(近郊)に住んでいたので、このあたりは実感をもってそのとおりだと思った。
 
これは需要と供給の関係で説明できて、土地だけは需要に対して供給量がかなり少ないので高くなるが、それ以外のものは供給の制限がないので、むしろ競争が激しいので価格には下方圧力が働く。コンビニやスーパー、チェーンの飲食店で売られているものは基本的に同じだし、個人で経営している飲食店なんかは、競争が激しい分地方より安い店はいくらでもある。
 
私が、この東京と地方の物価に関心が向いたのは、うちの会社の赴任制度を見たとき。
地方の中小企業であるうちの会社は、東京や大阪に支店があるのだが、家賃補助に、地元に戻るための帰省手当、さらには地方と都市部の物価差を補助するための地域手当と、かなり優遇されているのである。
このうち、家賃補助はたしかに都市部の地価が高いことからリーズナブルだとは思うのだが、帰省手当は単身赴任者だけでなく家族同伴者や独身者でもついており、また地域手当については上述のとおり物価差なんてものは基本ないので説明がつかない。
 
なんでこんなことになっているかというと、東京や大阪に支店をつくった30年以上前は、社員が地方である地元から都市部に行きたがらなかったので、いろいろと優遇したとのこと。
それが現在になっても残っている。現在ではむしろ都市部に行きたがる社員も多く、こんな優遇した手当にする必要もない。
ちなみに、住めば都で、都会に一度住むと帰りたくないと言い出すほうが多い。さらには手当も優遇されているので、戻しにくいという弊害も出てきている。
さらには、地元から東京や大阪といった都市部に赴任することしか考えられていない制度で、都市部で採用した人を地元にもってくることは想定されていない。
 
それであれば、変えてしまえばいいのだが、対象人数も少なく、コスト的には影響が多いわけではないので、そのままにしてしまっている。
また、対象者から見れば不利益変更になってしまうので、丁寧なコミュニケーションが必要で、変えるにもそれなりの労力がかかる。
 
とはいえ、地元の社員と比べるといびつな制度であることは間違いないなく、Voicy聴きながらそろそろ手を付けなくてはと思った次第である。
 
ということで、東京の物価は高くない、という話でした。