オリンピックが盛り上がるかどうかは柔道初日がカギ

東京オリンピックがついに開幕をした。
懸念された開会式もとりあえずは良かったという評価が多そうだし、いいスタートになったのではないだろうか。
ただ、本当にオリンピックが盛り上がるかどうかは競技次第。
私は、選手間でコロナの感染が広がって競技の中止が多発、という事態にならなければ、このオリンピックは盛り上がると思っている。
 
とはいえもう少し具体的に考えると、日本選手の活躍というのが、国内の盛り上がりには欠かせない。
日本がメダルを狙える競技は前半に集中しており、その中でも柔道が可能性が高い。
2020年代の現在においても、世界で勝つよりも国内を制するほうが難しいと言われるくらい、層の厚さはオリンピック競技の中でも随一である。
そう考えると、日本国内においてオリンピックが盛り上がるかどうかは、柔道でメダル、それも金メダルが獲れるかどうかにかかっていると言っても過言ではないだろう。
 
柔道は軽量級から順に開催される。
初日は女子48kg級と男子60kg級。ここでメダルを獲れると、そのあともメダルラッシュが期待できる。個人種目なので前の結果は関係ないのだが、それでもやはり出だしがいいと勢いがつくし、悪い結果だと連鎖しがち。
今回のオリンピックの成否は、柔道初日の女子48kg級と男子60kg級にあると思っていたので注目して見てみた。
 
柔道は連日、準々決勝までがお昼ごろ、準決勝、敗者復活戦、3位決定戦、決勝が夕方から開催される。この初日は夕方からある準決勝以降からテレビで観ようかと思っていたが、ちょうど家にいたので準々決勝から見ることができた。
 
結果はみなさんご存知のとおり、女子の渡名喜選手が銀メダル、男子の高藤選手は金メダルと、上々の滑り出しとなった。
結果自体は文句のつけようのないものだったと思うが、正直なところ、高藤選手の反則勝ちは見ていて微妙だと感じた。
勝ったこと自体は素晴らしいし、それにケチをつけるつもりはないのだが、ことオリンピックが盛り上がるかどうかという視点で見ると、これは微妙だった。この結果なら、一本負けのほうが良かったのではないかとも感じた。
久しぶりに見た柔道は、ルールがかなり洗練されており、一本を取りに行く柔道を具現化するために考え出されたルールであると感じた。
しかし、この決勝はそのルールを厳格に適用するがあまりになんだかちょっと間が抜けた結果になったように感じたのである。
実際、延長戦に入ってから相手に押されることが多く、そんな中での反則勝ちにちょっともやもやしてしまった私のような素人の人も多かったのではないだろうか。
 
とはいえ、男女ともに決勝進出で金メダルと銀メダルと、良い初日であったことは間違いない。少なくとも、今回のオリンピックが盛り上がらなかったのは、柔道初日がよくなかったからだ、と言われることはないと思う。一方で、これで完全に勢いがついたとはちょっと言い難い。
となると、2日目の女子52kg級、男子66kg級が今回のオリンピックの盛り上がりという点において分岐点になる。
阿部一二三・阿部詩兄妹が同時金メダルとなれば間違いなく勢いがつきオリンピックやってよかったになるだろうし、負けたとしてもそこに物語があれば同様の結果になると思われる。ただ、早い段階での敗戦となると、ここで勢いがしぼんでしまう危険性もある。
そういう意味では非常に重要な柔道2日目になるのではないだろうかと思った次第である。
 
ということで、初日と2日目のどちらが大事なのか、ハッキリしろという話でした。
 
 
以下は、柔道初日を見ての感想。
柔道はいわゆる1dayトーナメントなので、体力的にも準決勝あたりが盛り上がりのピークになっていたと感じた。とくにベスト8くらいに残る選手は実力差が僅差なので、体力的にも準決勝がピークになってしまうのは仕方ないのかも。個人的には、男女とも準決勝のほうが決勝よりも緊張しながら観戦した。
また、上述したとおり、ルールがかなり洗練されている印象。一本か技ありだけ、指導3つで反則負け、判定はなく延長戦で決着など、昔のルールに比べるとわかりやすいし明確。ただ、男子決勝はそれを厳密に適用しすぎた感あり。また、実力差がないどうしの対戦では延長戦が前提のように感じた。