ワクチン接種はどこまで進むのか

新型コロナのワクチン接種が進んできた。
私のところにもようやく通知が来た。とはいえ、予約は7月中旬、実際の接種の8月以降とのことで、もう少し先のことになりそうだ。
ただ、年内いっぱいに接種できればいいなと思っていたので、そこから見れば格段に早いとも言える。
 
さて、ワクチン接種は進んでおり、これによってこのパンデミックは終息するかのような雰囲気になっているが、本当にそのように進むのだろうか。
よく、免疫獲得者が人口の6割に達すると集団免疫が獲得でき、感染は終息すると言われている。
 
この集団免疫を獲得できるラインというのは、ウイルスの基本再生算数(R0)に依存しており、「1-1/R0」で計算される。
基本再生算数は、免疫が無い集団中に流入した1名の感染者が全感染期間において発生させる二次感染者の期待数とあるが、要は(免疫のない集団内で)平均して1人が何人に感染させるかという数字である。
 
で、人口の6割の免疫獲得で集団免疫を達成できるというのは、R0が2.5のときである。
当初、新型コロナのR0は2.5くらいであろうと想定されていたが、現在日本広がりつつあるアルファ型(イギリス型)やデルタ型(インド型)といった変異株のR0がどのくらいなのかで集団免疫を達成するためのラインが変わってくる。
変異株のR0が3であれば、集団免疫達成に必要な免疫獲得者数は人口の66%必要になり、4であれば75%、5であれば80%となる。
 
要するに、多くの国民がワクチンを接種しなければ、集団免疫を獲得することはできないということである。
ちなみに、2021年6月25日現在で、検査陽性者数は約78万人(東洋経済オンラインのサイトより)、日本の人口を1億2000万人とすると、0.7%未満である。仮にこの倍近い150万人くらいが免疫をもっているとしたとしても1.25%。集団免疫にはほど遠いことがわかる。
 
前置きが長くなったが、今回はワクチン接種によってどのくらいまで免疫獲得者が増えるかということをシミュレーションしてみたい。
以下は、完全に私の肌感覚であって、数字になんの根拠もないが、この切り口で考えてみたらどうだろうかということで、捉えていただければと思う。
 
まず、現状では12歳未満はワクチン接種できない。ざっくりだが、平均して1歳ごとに100万人、12歳未満の人口を1200万人とする。
集団免疫獲得のための免疫獲得者数の割合を計算する分母となる人口は、日本の人口の1億2000万人であるが、ワクチン接種できる人口の上限はそこから1200万人を引いた1億800万人とする。
 
さて、ここから新型コロナウイルスに対する捉え方で、1億800万人を分類してみたい。
ここでは、コロナは怖いので強めの自粛してでも感染を防ぐべしという層(以下、自粛層)、コロナはただの風邪であるから感染対策など必要ないという層(以下ノーガード層)、その中間でコロナを必要以上に怖がる必要はないが、ただの風邪でもなさそうと捉えている層(以下、中間層)に分ける。
それぞれの層が、どのくらいの比率で存在し、どのくらいの比率でワクチンを接種するかで、免疫獲得者数がどこまで伸びるかを予想してみたい。
 
まずは、どこで線引きするのかというツッコミを置いて、この3層がどのくらいの比率で存在するかだが、私の感覚ではコロナを怖いと思っている人はけっこう多いと思っている。一方で、ノーガード派も一定数いる。ここでは自粛派を40%、ノーガード派を10%、残りの50%を中間派とする。
 
続いて、それぞれの層がどのくらいの比率でワクチンを受けるか。
まず自粛派層。偏見かもしれないが、テレビ(というかワイドショー)からの情報収集がメインと思われる。私自身ワイドショーを見ることはないのだが、コロナは怖いというイメージとともに、ワクチンも怖いというイメージをつくり続けている印象があるので、この層はコロナは怖いけど、ワクチンも同じくらい怖いという人たちがけっこう多いのではないかと見ている。
ここでは、ざくっとだが6割がワクチンを接種して、4割が接種しないとする。
 
次に、ノーガード層。ここも印象論になってしまうが、ノーガード層がワクチン忌避する論を発することが多い。あわせて、もともとノーガードで問題ないと思っているのであれば、ワクチンを接種する必要がないと考えてもおかしくない。そこで、この層についても、接種が6割、接種しないが4割としてみる。
 
最後に、中間層だが、この層は基本ワクチン接種をする人が多いと考えるが、それでもワクチンには慎重な人たちはけっこういる印象である。
この層については、接種が8割、接種しないを2割としてみる。
 
以上の数字をもとにシミュレーションしてみたのが、以下の表の数字になる。
 
  接種する 接種しない
自粛派 25,920,000 17,280,000 43,200,000
中間派 43,200,000 10,800,000 54,000,000
ノーガード派 6,480,000 4,320,000 10,800,000
75,600,000 32,400,000 108,000,000
 
私が置いた数字だと、ワクチンによって免疫を獲得する人は7560万人。これを人口の1億2千万人で割ると、63%ということになる。
 
この数字だと、新型コロナの基本再生算数(R0)が当初の想定通り2.5であれば、晴れて集団免疫達成ということになるが、変異株が主流となって基本再生算数が上がっているとすれば集団免疫まで到達しないということになる。
 
果たして、ワクチン接種が進むのが早いのか、それとも変異株が蔓延するのが早いのか、注目して見ていきたいと思う。
 
ということで、集団免疫を獲得するのもなかなか難しいと感じた、という話でした。