鹿児島で感じた違和感の正体

この月末、九州に出張ということで、鹿児島に1泊した。
鹿児島は実質はじめてだったのだが、鹿児島中央駅を降りたときからなんとも言えない違和感を覚えた。
コロナ下ということもあり会食はなく、いつもよりも余裕がある日程だったので、夕方・朝と街ナカをランニングしてみたのだが、その違和感はますます増すばかりだった。
今回はその違和感をなんとか言語化してみたいと思う。
 
前回、鹿児島に来たのは去年の7月で、このときは鹿児島中央駅からすぐに車での移動だったので、街並みを見ることはできなかった。
また、このときは東口に出たので、正直地味な印象で、新幹線新駅でよくあるまわりに何もないタイプの駅なのかと思った。
 
今回は西口に出たので、アミュプラザや駅前の広場を見ることができ、こちらが表側でけっこう発展しているということを理解することができた。
 
さて、鹿児島の印象について。
まずは、駅や駅前。
駅ビルであるアミュプラザは、九州新幹線が全線開通してから10年、まだまだ新しいんだろうなと思っていたのだが、古くはないのだけど、新しいといった感じもなかった。
後で調べてみたら、アミュプラザ九州新幹線が部分開業した2004年に開業したということで、もう15年以上が経っており、致し方ないのか。
駅のまわりの商業施設も、外からしか見ていないが、子どものころに見た都会の商業施設という印象で正直古くさかった。
 
それから市電に乗ったのだが、この市電の車両も古い。
路面電車という交通手段自体が古さを感じさせるが、広島や松山のそれと比べても一段と古い。
そして、当然のようにSuicaは使えない。
 
最寄りの電停で降り、ホテルに向かうのだが、このホテルも建物が古い。
全国展開しており、どちらかというと新しいイメージのホテルチェーンだったので、ここでもなんとも言えない違和感を覚える。
そして、まわりを見渡してみると、ホテルがいくつかあるのだが、ほとんどが古い建物であった。一見して、一昔前のホテルだなという感じである。
 
ホテルに到着するとすぐに着替えてランニングがてら市内を回ってみた。
まずは鹿児島駅へ。
地方都市だと、地名の入った駅が複数あり、ターミナル駅以外でもまわりが栄えていることもあるので、どんな感じなのか見に行ってみたのだが、小さな駅でびっくりした。
市電の終着駅でもあったが、それ以外にまわりにこれといった施設はなかった。
 
気を取り直して、鹿児島城(鶴丸城)へ。
門構えがすばらしく、どうも中に入れるようなので、期待して入ってみたのだが、そこに城はなく、資料館のような建物があった。
奥には公園のような敷地が広がっているのではと思って進んでみたが、特段これといったものはなく駐車場を抜けて敷地の外に出てしまった。
なんとなくイメージしていた城跡と違って、正直がっかりした。
 
それから、天文館へ。
鹿児島一の繁華街ということで、どんな感じだろうと楽しみにしていたのだが、商店街自体は一昔前の趣。また飲み屋街も昭和の時代のままという感じであった。
それも意図してそういった景観を残しているという感じではなく、放っておいたらそうなったという印象を受けた。
 
また、朝は川沿いを走ったのだが、ランニングコースはあるものの、これもだいぶ前につくったままという感じで、もうちょっと見栄えをよくするだけで、印象がだいぶよくなるのに、もったいないなと感じた。
 
と、こんな感じで、南九州一の都市である鹿児島は、正直期待はずれだった。
私の期待値が大きかっただけかもしれないが、洗練された印象はなかった。
このくらい規模の都市に行くと、走っているときに、あっちももう少し見てみたい、こっちももっと奥のほうまで見てみたいとなるのだが、今回は正直それがなかった。
 
では、なぜ期待はずれな印象を受けたのか。
その原因を考えてみたところ、適切な投資がなされていないのではないかという仮説に行き着いた。人口規模に比べて投資がなされていない印象を受けた。
発展していこうとか、改善していこうという意思がなく、現状維持でいいと放っておいたら、結果としてこうなりました、というのを見せられた気がしたのである。
そして、おそらくこれが今回の違和感の正体で、鹿児島ほどの都市でもこういったことがあるということを実感することができた。
 
ということで、よく日本経済においても、成長を志向するのではなく、現状維持でいいといった論調があるが、意思を持って働きかけていかないと知らないうちに衰退してしまうということを鹿児島に垣間見た、という話でした。