子供心にも起こる現状維持バイアス

うちの上の娘は現在5歳だが、3歳半のときから公文に通っている。
 
私も3歳くらいから中学2年の終わりまで、算数・数学と10年以上公文に通っていた。
おかげで算数・数学はずっと得意科目で、大学受験も数学で合格したようなものだった。
そんな自分の経験もあったので、無料体験の機会に娘を連れて行ってみたら、やりたいということだったのでそのまま通わせることにした。
 
しかし、どうも算数というか、数字を扱うこと自体があまり得意ではないようで、なかなか進みが悪い。
私の場合、常に3学年くらいは先を進んでいたのだが、娘は学年相応、もしかするとちょっと遅いくらいかもしれない。
 
最初のころは進んで宿題もしていたが、徐々に宿題もやりたがらなくなってきた。
週2回の教室も、行けば行ったで楽しいようだが、行くまではめんどぐさがる。
 
それでも苦手意識がどこかでなくなってくれたらいいなとか、小学校に入ったときにまわりから遅れずについていってほしいなという思いから、半ば無理やり宿題をやらせながら、2年近く継続してきた。
 
そんな中、今日も宿題やろうと私が言うと、やらないと娘。
何度か押し問答が続いた末に、私もめんどくさくなって「それじゃあ、公文やめようか?」と聞くと、娘は「やめない」と答えるのである。
これまで何度か聞くだが、毎回「やめない」なのである。
宿題がめんどくさい娘としては、これ幸いと「やめる」と言いそうなものだが、面白いことにそうは言わない。
 
なんで「やめる」と言わないのか。
まだ空気を読むような年齢でもなく、親に忖度している気配ない。
どうも、子ども心に現状維持バイアスがあるのでないかと思うのである。
宿題やるのはめんどくさいし、楽しいことでもない。
それでも、現状やっていることをやめるのはやめといたほうがいい、という感情が起こっているように見えるのである。
 
もしこれが現状維持バイアスなのであれば、現状維持を好むという傾向は、後天的に獲得するものではなく、先天的にもっているものなのかもしれない。
現行から変えるということは、なんであれリスクを伴うものであり、とくにそのリスクを計算できないうちは、変えることは回避しておいたほうがいいという意識がはたらくのであろう。
けっこう小さいうちから、こういったバイアスに囚われるのだとすると、それそれで面白いなと思った次第である。
 
ということで、明日こそは宿題をやらせなくてはならない、という話でした。