YouTubeを見るためのテレビという機器

うちの5歳の娘は、休日家にいるときはほとんどの時間と言っていいほどYouTubeを見ている。
休日だけでなく、平日は朝もYouTube、そして幼稚園から帰ってもYouTubeといった感じである。
朝はYouTubeばかり見ていて支度が進まないので、7時以降は禁止したのだが、だからといってEテレを見ようとはならない。
 
思い返してみると、Eテレも長いこと見ていないということに気がついた。
朝の7時台の番組も、8時からはじまる「おかあさんといっしょ」も、最近見ていない。
もう少し小さいころは見ていたのだが、YouTubeを知ってからはそっちばかりで、テレビ番組はほとんど見なくなった。
 
わが家ではテレビに、AmazonのFire TV Stickを挿し込み、それでPrime Videoが見れるようになっているのだが、この中にYouTubeのアプリが入っており、もっぱらこればかり使っている。
もはやテレビ(という機器)は、テレビ番組を見るための機器ではなく、YouTubeを見るための機器になっているのである。
 
ただ、ちょっと考えればこれはもう仕方ないことで、無数にある動画コンテンツから自分が見たいものを見たい時間に選べるフォーマットと、(時間とお金をかけてつくっているかもしれないが)特定の時間だけでしか見ることができない番組コンテンツでは、もう勝負にならない。
好きな時間に好きなコンテンツを見ることができるのに、わざわざある特定の時間にチャンネルをあわせてその番組を見るということはしないのである。
うちの娘も、ちょっと前までは日曜の朝はプリキュアを見ていたが、最近では「プリキュアはじまるよ」と言っても、そのままYouTubeを見ている。
 
おそらく同じようなことが起こっている家庭は多く、今5歳くらいの年代からは、共通のテレビ番組を見るという経験をしなくなるのかもしれない。
そう考えると、いよいよテレビがオワコンになる日は確実に近づいている気がする。
 
そして、これはテレビ番組だけでなく、テレビという機器もわざわざ買う必要もなくなるということだろう。一人ひとりがスマホを持っていればそれで十分である。
すでに大学生など、一人暮らしをはじめるときにテレビを買わないという人が多いと聞くが、それが徐々に多くの世帯に広がっていくのだろう。
20年ちょっと前に私が大学生になったとき、携帯電話が普及し始め、固定電話をもつ人が少なくなってきていたが、その同年代の人たちはその後家庭をもっても固定電話をもっていない。
それと同様に、今の大学生が今後家庭をもったときに、テレビを買わないという世帯のほうが多く、20年後くらいにはテレビがない家のほうが多くなるのかもしれない。
 
テレビというフォーマットも、テレビという機器も、そう遠くない将来になくなっているんだろうなと、ふと思った次第である。
 
うちの娘を見ていて、テレビという世界に未来はないんだな、ということに気づいたという話でした。