自分がやられたら嫌だとわかっているのに他人にやってしまう、ということを展示会でよく見かける

2020年12月11日配信のVoicy『西野亮廣エンタメ研究所』で、「いざ、ウン千人とかウン万人にアピールできるチャンスを迎えたら、ほとんどの人は、「たくさんの人に自分の宣伝ができるチャンス」 と考えちゃう。」という話をしていた。
 
自分では広告を見たがらない人でも、いざ告知できる側にまわると、宣伝ばかりをしてしまう人が多い、ということである。
さらには、「皆、頭ではわかっていることでも、自分のことになると、思っている以上に周りが見えなくなる」とも話しており、わかるとできるとには大きな差があるな、と改めて感じた。
 
朝、散歩しながらこの話を聞いていたのだが、これと同じこと、最近見たなと思った。
先週行ってきた展示会である。
 
今回は出展者として参加したのだが、時間を見つけて会場を回ってみたところ、驚くほど「(頭でわかっていると思うが)自分のこととなると、思っている以上に周りが見えなくなる」人は多い、という場面に遭遇した。もしかすると、頭でしっかりとわかっていない人は少ないのかもしれないが。
どちらにしろ、自分がやられたら嫌なはずなのに、逆の立場になるとやってしまうということは、とくに展示会会場では多く見かける。
 
ここでは典型的なものとして、以下に3つの例を挙げてみたい。
 

1.ただひたすらパンフレットやノベルティを渡そうとする

展示会に行ったことがある人であれば、必ず経験したことがあると思うが、いまだにブースの前に立ってパンフレットやノベルティを配ってくるところは多い。
ただ、来場者側から見れば、自分の仕事とは関係のない会社のパンフレットや、どうせ使わないペンなどのノベルティをもらっても、正直迷惑である。
おそらくその出展者も、自分が来場者側でそういう経験をしたことがあるはずだが、いざ自分のこととなると思っている以上にわからなくなってしまうのであろう。
一昔前であれば、何かモノをもらうということは有り難いことだったのかもしれないが、モノに溢れているこの時代、いらないものをもらうということは想像以上に負担がかかるということを、出展者は肝に命じてほしいと思う。
 

2.ブースの前で直立して立っている

積極的にパンフレットを渡してきたりしないが、出展者のスタッフがブースの前に立っていて、そのブースの情報を確認できないという場面もよくある。
自分の仕事と関係ありそうかどうか確認したいと思うのだが、説明パネルの前に直立して立っていて見ることができないのだ。
飲食店でもたまにあるが、ランチを食べようと思って店を探していて、店先に出ているメニューを見てから決めたいのに、そのメニューの横に人が立っていて、メニューを見ることができないということがある。
おそらく、自分が入店の邪魔をしている(=集客を阻害している)ことに気づいていないのであろう。
それと同じようなことが展示会でもよくあるのだが、出展者スタッフは通路に正対するのではなく、逆にお尻を向けてブースの側を見ているくらいでちょうどいい。
そうすれば、その前を通った人は、その人のことを出展者スタッフと思わず、同じ来場者であると感じるかもしれないし、そうだとすると人気のブースであると錯覚してくれるかもしれない。
どちらにしろ、せっかく伝えたい情報を、出展者が隠してはいけない。
 

3.ひたすら売り込みをする

そうこうしながら、やっと自分と関係ありそうなブースに入って、説明を聞く段階になっても、ここでひたすら売り込みをされるということがたまにある。
人間は基本、聞くよりも話すほうが気持ちいい。この原則をわかっていないのか、ひたすら商品やサービスの説明したり、なんでもやるので何かあれば連絡くれ、といったことをまくしたてる人がいる。
先日も、とあるブースに立ち寄ったとき、うちの会社はその会社にとって顧客ではなくどちらかというと供給者側の立場であったので、そのことを最初に説明したのだが、伝わっていなかったのかひたすら売り込みをされた。これは埒が明かないと感じたので、早々に立ち去ったのだが、相手の話をよく聞くということは、ビジネスの基本中の基本だなと感じたのだった。
 
とこんな感じで、自分が人にやられたら嫌なのに、そのことを他人にしてしまうということはよくある。
そのときどきで、逆の立場だったらどう思うだろうということを、意識しないといけないのだな、とVoicyを聞きながら思った次第である。
 
ということで、とはいえそういった基本ができていない会社が多いから、それができるだけで一歩抜け出せるのだなとも感じた、という話でした。