展示会を活用した逆営業戦略(前編)

うちの会社では、数年前から展示会に出展して、自社製品のアピールをしているのだが、この10月に開催されるとある展示会にも出展しようか検討していた。
結果としてはコロナの影響もわからなかったので、出展は見送ったのだが、来年以降の出展の検討のためにも、その展示会を視察することにした。
行ってみると、予想以上に人は多く、こういう機会を待ち望んでいた人は多いんだなと実感した。
 
今回の展示会は、われわれの見込み顧客になりうる企業が多く出展していたので、来年の出展検討に加えて、勉強を兼ねて各ブースでいろいろと話を聞いてみた。
そうやっていろいろと情報収集してみた結果、やりようによって、出展するのと同じくらいの効果を上げることができるのではないかと感じたので、その考え方と具体的な方法を2回に分けて、まとめておきたいと思う。
 
前半の今回は考え方編である。
 

前提

まず前提として、出展者は自社製品のアピールのために展示会に出展していて、営業されるために出ているわけではない、ということをわきまえることが大事である。
出展者に対して、営業活動をすることはマナー違反であり場合によってはルール違反にあたるので、展示会会場で直接行うことは避けたい。
営業につながると書いたが、あくまでも展示会会場では、営業活動ではなく、情報収集に徹するということである。
 

情報収集に行く前に抑えておくべき考え方

前提を踏まえて、どういった考え方で情報収集するべきか。
以下の3点に集約できる。
 
1.あくまで情報収集に留める
繰り返しになるが、出展者は自社製品のアピールのために、展示会に出ているのであって、営業を受けるために出展しているわけではない。
なので、この場で自分の製品を営業するということは避けなければならない。
もちろん、最終的には自社製品を営業したいのだが、この展示会という場では、よほど先方が興味を示さない限りは営業活動はしないということを心がけ、あくまでも情報収集に徹するべきである。
 
2.出展初日の午前中に訪問する
出展者としては、展示会初日の開始時間というのは、お客さんが来てくれるかどうか不安に思っているものである。
うちの会社もこれまで何度か展示会には出展しているが、毎度お客さんが来てくれるかは不安になる。
なので、早い時間であれば、いわゆる冷やかしであっても、自分たちのブースに来てくれると悪い気はしない。
早い時間であれば、トークの練習もできるし、人が人を呼ぶをいうこともあるので、直接のお客さんでなくてもブースに人が来てくれるのはありがたいのである。
まだ人が少ない早い時間であれば、迷惑にならないだけでなく、出展者側にとってもメリットがあるので、こういった時間を狙って話を伺いたい。
 
これが逆に夕方になると、例え人が少なくても、1日接客をして疲れているので、直接のお客さんになりえない人に来てもらうのは、正直迷惑なので、注意が必要である。
 
3.自分の立場を早い段階で開示する
自分が客の立場の人間ではなく、逆にサプライヤーの立場の人間であることは、なるべく早めに開示したほうがいい。
散々興味をもって話を聞いた後に、実は見込み客ではなかったとわかると、必要以上に落胆してしまうからだ。
また、早い段階であれば、自分が見込み客でないとわかっても、ほとんどの出展者は丁寧に対応してくれる。
どこかで今後関係ができる可能性もあるので、無碍に扱われることはないのである。
よって、早めに自分の立場を開示して、それを前提として話を聞いたほうがいい。
 
 以上が、展示会を活用した逆営業戦略の前段階である、展示会会場での情報収集の基本的な考え方である。
 
後編では、この考え方を踏まえて、実際にどういったこと情報を聞き出すか、その情報を活用してどのように営業につなげていくのか、整理してみたい。