コロナウイルスの影響に見る、イベントや会合の中止判断の2つのポイント

コロナウイルスの影響で各地でイベントが中止になっている。私が見るところ2月26日の政府からのイベントの自粛要請を機に、一気に流れができた。
それまで様子見だった企業やイベントの開催者も、お墨付きを得たように中止へと流れていった。
さらには3月2日からの学校閉鎖のアナウンスもあり、完全に自粛ムードへと空気がつくられていった。
このウイルスの影響がどこまでのものかはわからないし、実質的な影響だけではなく、多くの人がどう思うかも大事な観点なので、政府がこのような要請をしたことや流れがつくられたこと自体にとくに異論はないし、ここで論じたいのはそこではない。
 
そんな中、仲のいい後輩から、地元の団体の会合の開催可否についての相談があった。
地方でもそういう流れがきているんだ、と思ったものだが、話しながら自分の頭を整理してみると、以下の2点で整理すればいいという結論に至った。
 
1.その会合の開催はウイルスの拡散抑制に実質的な意味をもつのか
2.まわりの人たちはその判断をどう見るのか
 
1.のウイルス拡散の抑制に実質的な意味があるのかについては、①どの地域なのか(感染の進行具合)、②どの規模の会合なのか、③どういった形態で行われるのか、といったところがチェックポイントだろうか。
 
①地域については、東京や大阪などの都市部はすでにある一定程度ウイルスの拡散は進んでいて、これらの地域におけるイベントや会合は開催しづらい状況にあると思う。一方で、まだ感染者が確認されていない地域においては、あまり過敏になり過ぎる必要はないように思う。
 
②規模については、当然は人数が多ければ多いほど、ウイルスが潜伏している可能性がある人の数が多く、またそこから拡散していくかもしれない人数も多いため、リスクが高いと判断される。
 
③形態に関しては、一方的に話をしてそれを聞くというスタイルか、参加者が双方向でコミュニケーションを取るスタイルかなどがある。これまで感染が確認されたケースは、閉鎖空間で、顔なじみどうしが、長い時間、会話する、という行為の結果が多いとも言われている。クルーズ船しかり、屋形船しかり、教会しかり。一方で、満員電車では感染のケースは確認されていない模様(確認されていないだけかもしれないが)。これは、不特定多数の人が集まっても、大声で会話するようなことがなければ飛沫感染のリスクは少ないということであろう。

 

 

続いて、2.のまわりの人たちがどう見ているか。

これは会合やイベントの参加者だけではなく、その他一般の人たちがどう見ているか、という視点も重要になってくる。とくに、学校も閉鎖するという現在の状況では、直接関係のない人たちからがどう思うかが大事かもしれない。
そう考えると、大企業などの「失うものが大きい」組織や個人は、レピュテーションリスクを考えると、中止の判断は妥当だと考えられる。ディズニーランドやUSJが閉館にしているのも、実質的な拡散防止といった意味合いもあるだろうが、それ以上にレピュテーションリスクを鑑みたと考えるほうがいいかもしれない。
また大企業では、地域に限らず在宅勤務をしたり、出張がNGになったりという判断をしているが、これも拡散防止というよりは、風評被害を避けるという行動と考えられる。
 
さて、相談があったという地元の団体の会合について、これらチェックポイントに照らしてみると、この会合は、まだ感染者の確認されていない地域で、100人規模で、双方向のコミュニケーションがあるといった特徴をもっており、1.の実質的な拡散防止という観点では、①は◯、②は✕、③も✕といったところで、総合的には△といったところだろうか。
2.のどう見られるかという点においては、内輪の会合なので、他の人たちから何か言われるようなものではないのだが、とくに地方ではまわりから好き勝手言われるリスクもある。学校まで閉鎖になった現状を考えると無理にリスクを取って開催する必要はないといったところだろうか。ということで、2.は✕。
これらを総合すると、無理に実施するリスクは取って実施する必要はないという結論になり、実際相談してくれた会合の責任者は延期にするという判断をした。
 
ところで、このケースのおいては中止や延期でいいかとは思うわけだが、現状まわりを見ると、右に倣えでとりあえず中止しておけ、といったケースも散見される。それをいい出したら、何もできなくなるという感じもある。
ウイルスの感染拡大を防止しなくてはいけないという命題はあるが、一方で経済も回していかないといけない。レピュテーションリスクも考えるとなかなか実施という決断をするのは難しいかとは思うが、それでも自分で判断軸をもって決めていくということも必要である思った次第である。
 
ということで、私が何かイベントや会合の責任者だったら、こういったポイントで開催可否の判断をするだろうなというポイントをまとめてみたという話でした。