「これからの会社員の教科書」を読んで、とりあえずうちの管理職の伝えたいと思った3つのこと

「これからの会社員の教科書」を読んだ。

著者の田端信太郎氏は言わずと知れたエリートサラリーマンで、NTTデータをはじめ、ライブドア、LINE、ZOZOなどで要職を歴任、2019年末でサラリーマンは卒業とのことで、これからはオンラインサロン「田端大学」を中心に活動されていくのだろう。

田端氏のことはだいぶ前からチェックしてきたと思っていたのだが、Amazonの購入履歴を確認したところ、著書「MEDIA MAKERS―社会が動く「影響力」の正体」を2013年に購入していたので、少なくともこのときより前から、ブログやTwitterなどを通して影響を受けてきたことになる。
田端氏の言動はいつも本質を突いており、それを不快に思う人も多いようだが、私はそのように感じたことはない。いつも正論をどうどうと言える人だな、という印象であった。
 
そんな田端氏が「サラリーマンの卒業論文」として書いた「新しい会社員の教科書」。
20代、30代の若手社員に向けて、上司がなかなか面と向かって言えない、仕事の関する気構えを説いた本なのだが、私は一読して、若手社員よりも管理職に読ませたいと思った。うちの会社の管理職はあまり本を読むという習慣がないので、今年から管理職を対象に課題図書を出そうと思っていたので、その第一弾としてさっそく配ってみた。
 
この本の内容は、私が管理職に言いたいことを代弁してくれていて、それはそれでちょっと恥ずかしいことではあるが、ここではコミュニケーションに関するトピックでとくに意識してもらいたいと思った3つの点についてまとめておきたい。
 
ファクトとオピニオンを区別せよ
その情報は「曖昧な段階での状況報告なのか、決定した後の確報なのか」「自分の解釈が入った意見なのか、客観的な事実なのか」をきちっと区別しておくことです。
うちの会社の会議でも、事実なのかか解釈なのかがわからず、聞き返すことが多い。
中には、発言内容を誇張して言うとうケースもあり、そのニュアンスが曲がって伝わることがある。
例えば、うちの会社の製品に対してクレームがあったときに、「早く代わりの製品をもってこい、と言われました」とうちの営業から報告が入る。本当に「本当にそう言われたの?」と私が報告した営業担当に聞き直すと、「いや、そうは言われてません。早くもってきてください、と言われました」と返ってくる。
本当は「早くもってきてください」と言われたのに、怒られているという解釈が混ざって「早くもってこい」になっているのである。セリフの改ざんである。
そのニュアンスの違いで、こちらの意思決定が変わってくるようなケースもあるので、勝手に誇張せず、正確に伝えてほしい。さらには、いちいち聞き返すのにもコストがかかることを意識してほしいところである。
 
ビジネスで主語は絶対に抜くな
ビジネスでは「主語抜き」は絶対にNGです。
 
上記の例の「早く代わりの製品をもってこい、と言われました」でも、誰が言ったのかが重要になってくる場合がある。先方の担当者がうちの営業担当に直接言ったのか、それとも先方の担当者の上司が先方の担当者に言ったのを先方の担当者がうちの営業担当に言ったのか(ややこしい)、で対応が変わってくる場合がある。
「Aさんが○○した、とBさんが言った」というように、複文の構造になっている内容では、そのそれぞれで主語と述語を正確に言わないと、正確には伝わらない。
主語と述語を意識して話す、大事である。
 
上司への質問は「クローズドクエスチョン」で
(部下が上司に質問するときは)「クローズドクエスチョン」で聞くことです。
 
これもよくある。
何か問題が発生したとき、「どうしましょうか?」とだけ聞かれることがけっこうある。「いや、どうしましょう?ではなく、どうするか考えた?」と聞き返すのだが、どうもいったん自分で考えるということを放棄しているようである。
一方で、けっこう複雑な問題であるのにもかかわらず、対案を考えずに、ある対策を決め打ちして「こうします」と報告してくることもよくある。他の選択肢も検討した上で決めたのかを確認すると、どうも他の選択肢という発想すらない。
 
簡単な問題であれば、「こうしようと思うがいいか?」と聞いてくれればいいし、複雑な問題であれば、(その原因を考えた上で)対策案を複数示して、それぞれの評価をした上で、相談なりに会議に挙げてほしいものである。
 
 
ということで、他にもうちの管理職に言いたいところはたくさんあったのだれど、あれこれ一度に言っても伝わらないので、まずはこのあたりから伝えていこうと思ったというお話でした。