KindleやAudiobookといったサービスはいかに読まない(聞かない)本を買わせるかがカギなのか?

前の記事「積ん読のコスト」で書いたとおり、KindleやAudiobookといったサービスでセールのときに買うという行為は経済合理的ではない。
 

chikaran.hatenablog.com

 

積ん読のコストがゼロだからといってセールのたびに買っていると読まない本であふれかえる。とくに電子サービスでは(そのアプリを立ち上げなければ)書籍自体が目に見えないので、積ん読しているという心理的なストレスもかかりにくい。

ということで、セールで買うのはやめようと思い立ち、とりあえずこれらの情報が入ってくるメールサービスを停止した。
 
停止してみてふと思った。逆の立場にたってこういった電子サービスの提供者の側から見ると、いかに読まない・聞かないコンテンツを買わせるか、がカギなのではないかと。
なので、これらのサービスはセールを連発し、積ん読を誘発させる。言い方は悪いが、読む(聞く)かどうかは知ったことではなく、いかに多くポチッとしてもらうことが大事なのである。
物理的なコンテンツと比較して、電子的なコンテンツは限界費用が(ほぼ)ゼロである。在庫のリスクもない。ついでに売上=限界利益で、利益率も高い。そのこと自体はわかっていたのだが、利用者の積ん読のコストもゼロであるということは、このようなサービスを提供するビジネスにとって大きな要素であるのだなと感じた。
 
余談だが、Audiobookでは毎日その日限りのセールを実施していて、その案内のメールが夕方ごろに送られてくる。遅いときは20時ごろにメールがやってくる。翌朝そのメールをみた私は前日にあったセールに参加できずくやしい思いをする、ということが多々あった。セールであればこの本買ったのに、と。これまた言い方は悪いが、まんまと嵌められていたのだ。
 
ここまで考えてくると、KindleやAudiobookといった書籍の電子サービスの本質的な価値は、『コンテンツを気軽に手軽に提供すること』ではなく、『「本を買っているイケてる自分」の演出すること』なのではないかとすら思えてきた。
私はリアル書店で紙の書籍を買うとなんとも言えない充実感があったのだが、それと同じことをもっと簡単に・もっと安く提供することが価値なのではないだろうか。
 
そう気づいた私は、夢から覚めたような感覚になった。今年は200冊以上も本を買ったぞ、悦に入っていたのだが、そんなものには意味がなかったのだと。
 
ということで、来年は買った数と読んだ(聞いた)数を同数にできるようにしようと思ったという話でした。