積ん読のコスト

この10年以上、毎年書籍は100冊くらい買っている(読んでいるとは限らないけど)。
東京にいるときは休みの日や少し早く帰れた日は丸の内や日本橋丸善に行くのが楽しみだった。勤め人をしていたときは、「本は迷ったら買え!」の教えのもと、毎月10,000円くらいは書籍に使っていた。紙袋いっぱいに本を持って帰るのはなんともいえない充実感があった。
しかしながら、このくらい本を買うとその置き場に困ってくる。そこで、ちょっと大きめの本棚を買ってそこに入れていくのだが、すぐにいっぱいになり、そのうち2列に入れるようになって、奥に何の本があるかわからなくなる。こうなってくると、本を処理しなければならないのだが、引っ越しなどはいい機会なので、その都度大量に本を処分していった。
本を所有するということにはコストがかかる、ということがわかった。
 
話は変わるが、東京にいたときは前述の丸善はじめ、いわゆるリアル書店で本を買っていた。
しかしながら、地元に戻ると大きな書店はなく、自然とAmazon中心の購買へと変わっていった(というかほぼAmazon)。
それに加えて、2012年末からKindleを使いだした。それ以降も当分は紙の書籍のほうが多かったが、去年(2018年)あたりからは完全にKindleのほうが多くなった(というよりも、紙の本を買わなくなった)
それまでは電子書籍よりも紙の書籍のほうが読みやすいと思っていたが、ハイライト機能の使い勝手がいいことに気づいてから、基本Kindleで出ていればそちらを買うようになった。
そして今年はAudiobookという存在に気づき、一気にその数が増えていった。
ちなみに今年の今日(11月24日)現在までの書籍購入数は、紙の書籍が11冊、Kindleが61冊、Audiobookが153冊だった。なお、リアル書店ではここ3年以上本を購入していない。
 
で、ここからが本題なのだが、電子サービス(電子書籍、オーディオブック)は物理的なスペースが必要にならないため、要は積ん読のコストがかからないため、セールスがあるととりあえず買っておこうか、となってしまう。
(とくにサービスを使いだした当初は顕著で、Kindleを使いだしたときも、Audiobookを使いだしたときも、セールで安くなるとポチッとしてしまうことが多かった。)
 
紙の書籍では基本値下げはないから、読みたい、ほしいと思ったときに(安心して)買っていたのだが、KindleやAudiobookでは、それほど読みたいとは思わなくても、ちょっと気になっていた本はとりあえず買っておこうかなってしまう。
それとは逆で、すぐに読みたい・聞きたい書籍があっても、いずれ値下げされるときが来ると思うと、買うのをためらってしまい、よほど何かの理由ですぐに読まないといけないという場合を除いては、ほしいものリストに入れておいて安くなってから買おうとするのである。
 
しかしながら冷静になって考えてみると、KindleもAudiobookも基本買ってすぐにサービスを利用できるのだから、読みたい・聞きたいと思ったときに買ってすぐに読むというのが、経済合理的なのである。
今年Audiobookで買ったのが153冊で、実際に聞いたのは75冊である。半分以上がスマホタブレットの中で積ん読状態になっている。153冊分に約15万円弱使っているので、そのうち半分しかまだ聞いていないから7万円以上がまだ未消化。153冊の大半はセールス時に購入していて、当然これから聞くものもあるのだけど、これらを買わずに聞く分だけを買っていれば(それがセールスではなかったとしても)もっと少ない額で購入できていたはずだ。
「本は迷ったら買え」ではなく「本は読むとき(聞くとき)に買え」なのである。
 
電子サービスは物理的なスペースのコストがかからない(見えない)ため、積ん読が促進される危険が多い。セールで安いからと言って、どんどん買えばいいというわけではない。
と、頭ではわかっていても、セールがあるとついつい見てしまい、気になっていた書籍を買ってしまうのは、それ自体が楽しい。だから、逆に「セールでは買わない」くらいのマイルールをつくらないと積ん読リスクはなくならないのではないだろうか、と思ったという話でした。