「30日でスキニーデニムの似合う私になる」「30日で白Tシャツの似合う私になる」に見る、努力の集中化と最小化

昨年来、私がよく活用しているスマホアプリが「Voicy」である。
Voicyはインターネットラジオアプリなのだが、この中で「森拓郎の聴くだけでヤセるラジオ」をよく聞いている。
森拓郎氏は、足元から顔までを美しくするボディワーカーとして、運動の枠だけに囚われない様々な角度からボディメイクを提案する運動指導者で、多くの書籍を執筆し、Voicyでも人気を博しているパーソナリティーである。
Voicyの内容はリスナーからの質問に答える形式で、(ほぼ)毎日、健康やボディメイクに関する質問に1つ、人生や恋愛に関する質問に1つ答えている。健康オタクの私としては、人生相談・恋愛相談はあまり関心がないので、時間のないときは健康関連の質問だけを聞いているのだけど。
 
さて、この森拓郎氏、マーケティングセンスがすばらしい。
ターゲットを女性を定め、そこに刺さる商品を開発しているし、またかなり早い段階からSNSを通じて情報発信をしているらしく、こういった音声メディアも活用するなど、集客のしくみ化もできている。1つ例を挙げると、氏が開発・商品化したプロテインの「ウェリナ」は、一般のプロテインが男性向けでムキムキになるようなパッケージなのに対し、パッケージやネーミングを女性向けにして味も美味しい商品として仕上げており、価格は一般のものと比べて割高だが、自らのメディアで情報発信することでかなり売れているようだ(ターゲット外である私もVoicyの影響で、3つの味を試してみたが、どれも美味しかった)。
 
前置きが長くなったが、彼の著書である「30日でスキニーデニムの似合う私になる」「30日で白Tシャツの似合う私になる」の2冊の話が今記事の本題である。
どちらも、要はストレッチ本で、前者が下半身のストレッチ、後者が上半身のストレッチを扱っている。
この2冊、何を血迷ったのか、(スキニーデニムは履かないし、白Tシャツだけでは着ない)40代のおじさんである私が(Kindleで)買ってみたのだが、これがすばらしい。
これらの本の何がすばらしいか。ストレッチ自体がよく効くということや、ターゲットを女性に定めてそこにあわせてタイトルやビジュアルをつくるという上述のマーケティングセンスもあるが、それ以上に2つのことが挙げられる。
 
一般的に、こういった何かしらの行動や努力を促すタイプの本(ダイエットや勉強の本)は読んでも続かないのが常である。いくら内容が良くても続かなければ意味がないのだが、その続けるための大きな工夫が2つなされているのである。
 
1つはタイトルにもあるように「30日」で完結する内容であること。人間の努力は(基本)続かない。でもそれはゴールがなかったり見えなかったりするからであり、30日という絶妙なゴールを設定することで、自分もできると思わせてくれるし、実際1ヶ月くらいであれば続けられるのである。そして、1ヶ月続けることができれば、その後も続く可能性は高いのである。そういった人間心理をよくわかっていて、まずは短期のゴールを設定してあげるというコンセプトとタイトルがすばらしいと思う。
 
もう1つはストレッチの種類を限定していること。この2つの本は、ベージックのストレッチ4つと毎週レベルアップするストレッチ2つ×4週で構成されている(厳密に言うと、「白Tシャツ」のほうは3週目でベージックのストレッチがNEOベーシックとなる)。よって、1回にしなければならないストレッチ6つに限られており、これもやはり「私でもできそうだ」と思わせてくれる。一般的にこういった本では、あれもこれも載せて、結果として全部できないから1つもやらないとなってしまう。そこをこれだけやればいいと厳選してあげることで、読者も負担感を下げているのである。ちょっと足りないなというくらいがちょうどいいのである。
 
これは、1つ目が「努力の集中化」を、2つ目が「努力の最小化」を促していると言える。できればあまり努力したくない思う分野のことでも、その努力を集中化(=短期化)し、最小化することで、実際の行動に結びつけているのである。そういったコンセプトがすばらしく、それをタイトルで直接的に表現しているところに、マーケティング戦略の巧妙さを感じた次第である。
 
そんなことに感心しながら、ターゲットと無関係の私もこの2つのストレッチ本を実践しているのだが、幸いやってみてすぐ身体が楽になった気がしている。せっかくなので、30日は継続してやってみようと思う。
30日でスキニーデニムの似合う私になる (美人開花シリーズ)

30日でスキニーデニムの似合う私になる (美人開花シリーズ)

 
30日で白Tシャツの似合う私になる (美人開花シリーズ)

30日で白Tシャツの似合う私になる (美人開花シリーズ)

 

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