テレビのリモコンから見る「絶対」と「相対」

絶対と相対という対の概念がある。
言葉の定義としては、絶対(もしくは絶対的)とは「他との関係や比較なしに成り立つこと」であるのに対して、相対(相対的)とは「他との関係や比較によって成り立つこと」である。
 
この概念のフィルターを通してみると、テレビのリモコンは「絶対的」な機能のボタンを多く配置していることがわかる。
まず、テレビのリモコンはだいたい1~12までチャンネルのボタンがついている。
この1~12までのボタンは、「絶対的」にそのチャンネルまで連れて行ってくれるボタンである。
それに対して、チャンネルのボタンとしては、↑と↓のタイプのものもついている。これは「相対的」に1つ隣りのチャンネルに飛んでくれるボタンである。
絶対的なボタンは目的のチャンネルに変わるのに時間はかからないが、その分ボタンの数は大きくなってしまう。
逆に相対的なボタンは目的のチャンネルまでは多少時間がかかってしまうが、ボタンの数自体は↑と↓の2つで済む。
 
余談だが、音量については相対的なボタンしかついていない(消音ボタンはある音量に関する絶対的な機能のボタンだけど)。絶対的なボタンを配置すると数が大きくなりすぎるからだ。でも、もしかすると、10とか20とかある一定の区切りのボタンが2,3個ついていたら便利なのかもしれない。
 
その他にもテレビのリモコンにはいろいろな機能のボタンがついていて、そのため大きくて複雑とよく言われるが、それはリモコン上に絶対的な機能をもったボタンを多く配列しているからに他ならない。
それに対して、Amazonの Fire TV Stickのリモコンは小さくボタンも少ないが、これは絶対的な機能を持つボタンはホームボタンくらいで、それ以外は相対の概念でつくられたリモコンになっているからだ。でも使ってみると、わかりやすくこれくらいで十分である。
 
ということで、絶対の考え方でつくられているものを相対に振ってみたり、逆に相対を絶対にのほうに振ってみたりすると、新しいアイデアが出てくるのかもしれない。